「試職(シショク)」は就活生を救う? 就職戦線に新たな兆しこれからのことがよく分かるコラム(2/4 ページ)

» 2013年03月06日 08時01分 公開
[岡崎仁美,Business Media 誠]

ブームの背景は、就活の“圧縮”

 背後にある事情はこうだ。就職活動とはそもそも「自分の働きたい企業にアプローチする行為」である。ところが実際は、自分のやりたいことが整理されぬままに、就職活動に突入する学生は少なくない。

 そもそも世の中にどんな業界があるのか、そこではどんな仕事がなされているのかなど、就職活動が始まってみて初めて真剣に調べる人が大半なのだ。知らないことはやりたいと思えない。まずは「知る」ことから始めるのは極めて真っ当な手順と言えよう。

 ところが今の就職活動では、12月に火ぶたが切られた直後から面接解禁の4月に向けて、各社の採用スケジュールが極めて迅速に進んでいく。「就職活動は12月から」というのは、あくまで企業とのやりとりが始まるのは12月から、という意味であり、「12月まで何も考えなくてよい」ということではない。

 しかしそこを履き違えたまま12月を迎えた学生は、ただただスケジュールに追われてしまい、志望動機が高まらないまま、もっと言うとそもそも業界や企業に対する知識すらおぼつかないままに、選考の時期を迎えてしまうのだ。

現在の就職活動スケジュール

 これには企業も頭を悩ませている。圧縮スケジュール元年の2013年卒採用では、多くの企業人事から「最終面接前の学生にいろんな情報をインプットし、志望動機づくりのサポートをせざるを得なかった」との嘆きを聞いた。

 そしてその反省をもとに、2014年卒採用では、選考前の直接接触の機会である会社説明会を、仕事内容や社風をしっかり理解させることに力点を置いたものに衣替えしているのである。

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