1億2000万人の目を救う? まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた仕事をしたら“新薬”ができそうだ(前編)(3/6 ページ)

» 2013年04月03日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

新薬ができるまで

土肥:基本的な質問で恐縮なのですが、そもそも新薬ってどのようにつくられているのでしょうか? 研究室で白衣を着た人たちが、顕微鏡をのぞいていたり、試験管をふりふりしているイメージがあるのですが、そこでなにをしているのかよく分かりません。

窪田:世の中で最初に誕生した薬は、たまたま発見されました。虫歯の痛みを止めるために、つまようじに使われていたヤナギの枝を噛んだところ、痛みが治まった。ヤナギの枝を調べたところ「アスピリン」が見つかり、それを薬にしました。このように薬ができるきっかけというのは、化合物から始まるケースが多いんですよ。

 加齢黄斑変性のケースで言うと、酵素が働きすぎているから発症するのかもしれない、という仮説を立てました。じゃあその酵素の力を弱めるためにはどうすればいいのか。酵素をカギ穴に例えると、そのカギ穴に合う化合物をつくることから始めました。

土肥:ほほー、なんだかカギ職人のようですね。その化合物はどのようにつくるのですか? 何かに例えていただければ。

窪田:ブロックを組み立てるような感じですね。化合物のブロックを組み立てて、カギ穴にピッタリくるモノをつくっています。そしてできあがったモノをカギ穴にはめてみて「あ、はまらない。大きすぎたのか。じゃあ、もうちょっと小さくしよう」。で、小さくして、それをカギ穴にはめたところ「お、今度は小さすぎたか。じゃあ、大きくしよう」といった作業ですね。

土肥:それは機械で行うのですか?

窪田:いえ、手作業です。何度も何度も繰り返しながら、化合物のデザインをつくっているんですよ。そして何千もの化合物をつくっているうちに、カギ穴にどんぴしゃのモノができました。

土肥:おおー、それで新薬が完成したのですね。

オフィスで打ち合わせをしている窪田さん(一番左)

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