1億2000万人の目を救う? まだ誰もつくっていない新薬の話を聞いてきた仕事をしたら“新薬”ができそうだ(前編)(4/6 ページ)

» 2013年04月03日 08時01分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

安全性を検証

窪田:いえ、まだまだです。カギ穴にぴったりサイズの化合物ができましたが、次に安全性などを検証しなければいけません。まずは動物で検証して、それで問題がなければ、人に投与することができます。

 最初はどんな人に投与するかというと、回復能力が高く若くて健康な人に、ごく微量を飲んでもらう。そして問題がないということが分かると、もう少し多く飲んでもらう。そこで問題がなければ、さらにもう少し多く飲んでもらう。こうしたことを繰り返して、1週間飲み続けるとどうなのか。1カ月ではどうなのか。半年ではどうなのか。といった感じで、1つ1つ確かめていかなければいけません。

 健康な人には問題はなかったが、病気を患っている人に飲んでもらうとどうなのか。肝臓が悪かったり、腎臓が悪かったり、いろんなところにダメージを受けている人に、薬を飲んでもらって、大丈夫なのかを調べなければいけません。それが終わると、次に大規模試験といって、いろんな人に飲んでもらって安全性に問題がないかを調べます。その投与期間は2年くらい。結果、大丈夫であることが分かると、その段階になって初めてFDA(米国の食品医薬品局)に薬を提出できるのです。そして「これだけ安全性が高い。これだけ薬の効果が高い。だから認可していただけませんか?」などとアピールして、決断を待つことになります。

土肥:じ、時間がかかりますね。

窪田:新薬ができるまで、平均で12年かかると言われています。

土肥:待っている間というのは、どういう心境なのでしょうか?

窪田:なにも起こらないことを願うしかないですね。

土肥:もし「この薬はダメ!」という結果だと、どうなるのでしょう? 「ココを改善して」と言われて、化合物を修正する作業が始まるのでしょうか?

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