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» 2013年04月08日 08時00分 公開

35歳で「初めて就職する」ことの困難さを、改めて考えてみたサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(2/3 ページ)

[サカタカツミ,Business Media 誠]

 ここまで読んで「あれ、この構図って、ちょっと面白いかも」と気がついた人もいるかもしれません。そう、実は彼女の経歴は、20代の就活生ならまったく問題がないのです。「頑張ってきたことは何ですか?」という質問にも十分に答えられますし、頑張ってきたことを人前で披露する経験も積んできている。なおかつ、資格も用意して働くための準備も始めていることも伝えられます。さらに、正社員という仕事ではないけれど、勤務態度も良く真面目に働いてきました。これを学業面に置き換えれば、就活生としてはとても優秀な部類に入る女子学生の出来上がりです。しかし、彼女は35歳。転職市場での評価は限りなくゼロに近いという、残念な結果になるのです。

芸術やスポーツの分野に打ち込んできた人が、35歳から別の人生を歩もうとすると……(写真と本文は関係ありません)

ビジネス社会で、人々が「35歳」に求めるものの正体

 こういう話を書くと「彼女は自分の好きなことをやってきた結果だろう、自業自得じゃないか」とか「そもそも一定の年齢に達しても職に就いていないこと自体がダメなのだ」という声が聞こえてきそうです。しかし、スポーツや芸術の分野で身を立てたいと考える人がいても不思議ではないですし、十分な努力もしています。人前に出て披露できるレベルには十分に達している点から見ても「趣味の延長線上」というわけではない。たまたま芽が出なかったことは、責められるべきではないでしょう。しかし、多くの人が違和感を持ってしまうのも事実です。

 実際、冒頭の打ち合わせの最中に編集長の吉岡綾乃さんにこの話をしてみると「うーん、確かに35歳で未経験なら採用しませんよね」とのこと。その理由を尋ねると、未経験がダメというわけではないし、35歳という年齢がダメというわけでもない、35歳で経験がないことがダメだと言うのです。このコラムを書くにあたり、何人ものに同様の質問をぶつけてみましたが、みんな似たような回答でした。ごく一般的に考えると、35歳には35歳のビジネスパーソンとしての能力や経験を「求めて」企業は採用しますし、当然それなりの能力を持っていることを期待しています。それがないなら「採用しない」という選択になってしまうのです。

 以前、ある職場で30歳未経験という男性が働いていました。彼も今回の35歳の彼女と同様、ある分野で身を立てようと努力していた人でした。結果的にかなわず、就職をしたわけですがとても苦労していました。周囲の人に話を聞くと、彼は30にもなってあれができない、これができないという話ばかり。なるほど、確かに30歳のビジネスパーソン、大学を卒業して即就職していれば八年目くらいの人ならばある程度の経験も積んでいますし、もしかしたら部下の一人くらいいてもおかしくない年齢です。そんな人が年相応どころか若手ビジネスパーソンでもできそうなことができないと、周囲はいらだってしまうのです。ただ、勘違いしてはならないのが、彼は30歳ではあるけれど、社会人としては一年生。できないことがあっても当然、ともいえるのです。

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