札幌市電の場合、全線が複線区間だが、両端の西4丁目電停とすすきの電停は線路が1本しかない。したがって「駅に電車が到着し、乗客が全て降り、運転士が移動し、乗客をすべて乗せる」という一連の動作が終わるまで、次の電車は駅に到着できない。そのため、短い電車1両で、本数の多い区間で3分〜4分の運行間隔が必要だ。
実際は交通状況によって運行間隔は偏る。2台以上の続行運転もあるだろう。しかし、それでも折り返しのために3分以上かかるから、続行運転しているにもかかわらず、終点で後続電車が3分以上待たされるという状況が発生しているはずだ。あるいは、途中の電停で時間調整のため3分以上停車する場合もあるだろう。
結局、通勤時間帯で乗客が急いでいても、折り返しの3分に制約されてしまう。こうなると、続行運転で電車が来た場合、急いでいる乗客は前の電車に集中する。さらに電車が遅れる。後続がつかえる……となっていく。
この状態は環状線化で解消される。折り返しが必要ないから、運行間隔の3分の縛りはなくなる。路面電車は続行運転可能なため、1分間隔も可能。30秒間隔もできそうだが、乗降時間があるのでさすがにそれは無理か。それにしても、400メートルの延伸で環状線になれば、いまより運行間隔は短縮でき、増発も容易になる。
札幌市では環状線化の次の段階として、路面電車の札幌駅前乗り入れを検討している。ただし、駅前通りを札幌駅まで伸ばすとなると、終点の札幌駅前電停で折り返しが発生する。しかし、駅前に小さなループ線を作ったり、隣の道路を使えば環状化できる。それだけの輸送量と運行頻度を期待するなら、ここは「環状」にこだわったほうがよさそうだ。
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