部下の意識を上げるにはどうすればいい? パタゴニアの事例気鋭の経営者に聞く、組織マネジメントの流儀(3)(2/5 ページ)

» 2013年04月26日 08時00分 公開
[Business Media 誠]

辻井:それはとても難しいところですね。ポジションが人をつくる部分は確かにあります。会社全体を考える視点と、ストアのことを考える視点とではどうしたって違ってきますからね。自分のストアの成功だけを考えてしまうのは仕方がない部分もある。逆に、一スタッフから見たら簡単だと感じるようなことも、会社全体を考えるといろいろあってすぐには実行できない場合があったりします。

中土井:そうでしょうね。視点が違うと、一見簡単そうに見えることができなかったりします。

辻井:部下の意識を上げたいと思ったら、責任範囲を広げるといいのかもしれません。ただ、そうせざるを得ないというのは、やはり組織全体のゴールが共有できていないからでしょう。

中土井:どういうことでしょうか?

辻井:ゴールのイメージが共有されたら、次はそのゴールに到達するために、「このチームにはこういうファンクション(機能)が必要になる」と分かりますよね。ファンクションがはっきりしたら、ロール(役割)で分担します。ロールの合計がファンクションです。そうやって考えていけば、みんなの意識も上がるのではないでしょうか。

中土井:ファンクション、ロールをきちんと分解して考えるわけですね。これをやらずに、ゴールを共有したあとは「人を仕事につける」というのか、人ありきでマネジメントして失敗するパターンは多いような気がします。「あなたはコレが得意そうだからコレを任せた!」という感じで。適材適所という言葉の悪影響かもしれません。

辻井:組織の規模や業務の種類によっては、人を仕事につけるやり方のほうが効果を生む場合もあると思います。パタゴニアもずっとそうやってきました。ぜいたくできない小さな会社は、そうするしかない部分もあるはずです。大切なのは、機能と役割を明確にした上で、得意なこと、強みを生かすという組織開発だと思います。

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