進むクラウド化、デジタル化―最新会計ソフト活用で業務効率アップ

基本中の基本、年末調整の書き方を理解しよう知らなきゃ損するサラリーマン節税(3/4 ページ)

» 2013年11月14日 08時00分 公開
[奥川浩彦Business Media 誠]

奥さんが稼いでいても「配偶者特別控除」の可能性あり

 「平成25年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」は生命保険などの保険に関して記入する項目と配偶者特別控除に関して記入する項目が用意されている。

 そこそこ奥さんが稼いでいて、年収が103万円を超え配偶者控除の対象外になった場合でも、年収が141万円未満であれば「配偶者特別控除」という税的優遇を受けることができるので、「平成25年分 給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」の右側の「給与所得者の配偶者特別控除申告書」欄も記入しよう。

給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書 右側が配偶者特別控除申告書となっている。それ以外は保険関係の記入欄だ

 配偶者特別控除を受けるには旦那さんの所得が1000万円以下という条件があるが、年収ではないので注意しよう。年収と所得の関係は次の式で表される。

  • 給与の収入金額(年収)−給与所得控除=給与所得

 給与所得控除は年収が1000万円を超えた場合、

  • 年収×5%+170万円

となっているので、逆算すると年収が1231万5790円を超えると所得が1000万円を超えることとなる。

  • 1231万5790円−(1231万5790円×5%+170万円)=1000万0000.5円

 実際に記入例をみてみよう。最初に2013年(平成25年)の合計所得金額の見積額を記入する。正確に計算しようとすると1月からの給与明細を見て、これからもらうボーナスや給与を推計し、さらに給与所得控除を調べることになり、かなりの手間を必要とする。所得で1000万円以下なら800万円でも600万円でも結果は同じなので、面倒ならばそれらしい金額を記入すればよい。

 次に「配偶者の合計所得金額(見積額)……」欄を記入する。奥さん(配偶者)の収入を「収入金額等」欄に記入するのだが、ここはある程度正確な金額を推計して記入したい。これにより税的に優遇される控除額が決まるので、奥さんの給与明細を確認しできるだけ正確に記入しよう。

 安倍祥子さんの場合、収入は132万円。ここから65万円を引いた67万円が所得金額となる。その所得金額を下段の早見表と照らし合わせると「65万円から69万9999円」に該当するので控除額「11万円」を一番下の配偶者特別控除額の欄に記入する。

給与所得者の保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書

 以上で配偶者控除、扶養控除、配偶者特別控除など扶養親族関係の記入はすべて終了だ。筆者が最後に年末調整を書いたのは8年前。原稿を書くにあたり知人に最近の年末調整の事情を聞くと、名前、住所だけでなく家族の生年月日まで記入された状態で申告書が配られる会社もあった。枚数は2枚が主流で3枚の会社もチラホラ。多くの項目は毎年同じなので、書き終えたらコピーを取っておくと翌年の年末調整の際は楽に記入することができるだろう。

 結婚して家族を養っている人はこれで税的優遇(=控除)を積み上げることができたはずだ。実際にどれくらい税金が減ったかの計算は後述するとして、次は生命保険など保険料控除申告書の書き方を説明しよう。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.