「餃子の王将」社長はなぜ「25口径」で撃たれたのか?窪田順生の時事日想(2/3 ページ)

» 2013年12月24日 07時00分 公開
[窪田順生,Business Media 誠]

犯人像は2つに絞られる

 そんな条件のなかで、殺傷能力が低い銃をプロのヒットマンが使う。よほど強いこだわりがある仕事師なら別だが、通常ちょっと考えにくい。「殺し」が目的なら失敗するリスクは徹底的に排除するのがプロだからだ。となると、犯人像は以下の2つに絞られる。

(A)クライアントからの要望で25口径を使ったプロ

(B)たまたま入手した銃が25口径だった素人

 現段階ではなんとも言えないが、ひとつだけ両者に共通することがある。それは大東社長への強い「憎しみ」である。

 (A)に関しては先ほどの元ヤクザが述べたような残酷なスタイルをわざわざ望むというからには、依頼主は相当強い恨みがあるはずだ。(B)の場合、一般人がわざわざ銃を入手して殺害に走ること自体、憎しみが原動力になるというのは言うまでもない。

 大東社長は誰よりも早く出社し、本社前の掃除をするなどしていた庶民派で知られ、近所からも「人から恨みを買うタイプではない」という人物評だが、一方で鳩300羽を飼って、「レース鳩」に興じ、その世界でも知られた“勝負師”でもあった。

 企業経営者としてのトラブルも抱えていた。過去には、創業者であり大東社長の義兄である加藤朝雄氏の親族が設立した外食チェーンとは、「王将」の商標をめぐって訴訟となったこともある。さらに、朝雄氏の息子であり、大東社長の甥にあたる加藤貴司氏はパブで知り合ったウクライナ人女性との間にもうけた息子とともに5年前から「消息不明」となっている。

 いや、そもそも人畜無害で誰からも恨みを買わないような人物が、有利子負債額470億円の企業を立て直すことなどできるわけがない。

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