2014年、注目の列車旅は? 四国・東北、そして杉山淳一の時事日想(3/4 ページ)

» 2014年01月10日 08時00分 公開
[杉山淳一,Business Media 誠]

東海道新幹線50周年、記念行事は?

 東海道新幹線は1964年の開業から50周年を迎える。運行するJR東海としては、晴れがましい気分もありつつ、老朽対策も必要だから、浮かれてはいられない。いまのところ記念行事は「新幹線開業50周年記念高速鉄道国際会議〜飛躍する高速鉄道〜(仮称)」というお固い催しだけだ。しかし今後、お祝いムードが高まっていくと思われる。JR東海が何もしなくても、沿線の都市や玩具・雑貨メーカーにとっては大きな商機であり、周辺からも盛り上がっていくはずだ。JR四国の新幹線そっくり列車もそのひとつかもしれない。

 JR東海としては50年の実績をリニア中央新幹線へつないでいく考えだ。この秋にもリニア中央新幹線を着工する見通しである。今年からは新駅周辺の開発関連や、用地買収などの話題が登場し、工事進ちょくを実感させてくれるだろう。東海道新幹線については、最新型車両N700Aの最高速度を引き上げる準備をしており、現在は試験中。実現のメドが立てば、やはり秋に国土交通省に認可申請する目標を立てている。

秋田、長野新幹線のサービスアップ

 新幹線といえば、JR東日本にも動きがある。3月のダイヤ改正で秋田新幹線が新型車両E6系に統一される。これで「こまち」はすべて東北新幹線内で時速320キロメートル運転となる。秋田がさらに近くなる。長野新幹線には北陸新幹線用に作られた新型車両を先行投入する。東北新幹線「はやぶさ」と同格の上等座席「グランクラス」が提供される。「はやぶさ」のような供食やアテンダントサービスはないというが、魅力的なサービスアップだ。もっとも、秋田新幹線のスピードアップと引き換えにして、上野と青森を秋田経由で結ぶ寝台特急「あけぼの」は廃止。今後は多客期の臨時列車になるという。あるいは、秋田だけではなく、太平洋側へ向けた臨時列車の設定もあるかもしれない。

昨年お披露目したE7系(JR西日本はW7系)は長野新幹線で今年から運行開始(出典:JR東日本)

 昨年、JR東日本は実験的な臨時列車を2つ運行した。ひとつはカシオペア車両を使って上野−秋田間で運行したクルーズトレイン(関連記事)。もうひとつは、国鉄時代に製造した寝台電車「583系」を使った臨時列車だ。583系は昼間は座席特急、夜は寝台特急として使える電車で、デビュー当時は上野−青森間で昼夜を問わず走り続けた。JR東日本は今年、この車両を使って、通路をはさんだ片側を座席、片側を寝台として、1人に付き寝台と座席をセットで利用できる列車を運行した。つまり、ベッドとリビングの両方を提供したわけだ。

 583系は老朽化で消えていく運命だが、こうしたアイデアは次の車両、サービスに生かされるだろう。JR東日本は2016年に新型クルーズトレインを新造する予定で、今年から情報が提供されるだろう。JR西日本も2017年からクルーズトレインを運行する計画だ。この2つのクルーズトレイン計画にとって、2014年はリサーチの年になる。

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