タクシーに乗ってみたら、高齢の運転手さんがマルチリンガルだったサカタカツミ「就活・転職のフシギ発見!」(1/4 ページ)

» 2014年02月10日 08時00分 公開
[サカタカツミ,Business Media 誠]

連載「就活・転職のフシギ発見!」とは?

 就活や転職、若年層を中心としたキャリアについて、仕事柄仕方なく詳しくなったサカタカツミが、その現場で起きている「当事者たちが気付いていないフシギ」について、誰にでもスルッと理解できるように解説するコラム。

 使えない部下が毎年出現するのはなぜなのか? その理由も、垣間見えるはずです。

著者プロフィール:サカタカツミ

 クリエイティブディレクター。1967年生まれ。長年、就職や転職、キャリアに関するサービスのプロデュースやブレーンを務めている関係で、就活や転職には詳しい。直近でプロデュースしたサイトは「CodeIQ」。著書に『こんなことは誰でも知っている! 会社のオキテ』『就職のオキテ』がある。

 個人的に書いている就活生向けのブログは、なぜか採用担当者たちから「読んでいて心が痛くなります。ホントにつらいです」という評価を受けている。Twitterアカウントは@KatsumiSakata


 以前、居酒屋で飲んでいると「なぜか」就職活動に関する話題で盛り上がっている学生と遭遇したり、裏原宿でカレーを食べていると「本当に偶然に」興味深い面接シーンに出くわしたりと、犬も歩けば棒に当たる状態で、この連載のネタに遭遇しているサカタカツミです。本日は、たまたま乗車したタクシーでの、ちょっとした話を。

タクシーの運転手さんの話は、キャリア論だった?

浅草

 何気なく乗ったタクシーのシート前のポケットには、たくさんのパンフレットが入れられてありました。よくある光景。減量を促す冊子をみてため息をついたり、経費節減のために秘書代行サービスを利用しましょうとお奨めしたりしているチラシに「秘書を雇わなければならないほど、忙しくなりたい」などと、いつも通り悪態をついていると「国際観光タクシー」なる紹介が。

 運転手さんに「これはどういうサービスですか?」と訪ねてみると、海外から観光に来た人に対して、日本語以外の言語がある程度できる運転手をアサインして、東京の観光に利用してもらうというサービスとのこと。「私も、今日は街を流していますが、普段は外国人に貸し切ってもらうことが多いです」と話が盛り上がってきました。

 「皆さん、語学が堪能(たんのう)ということですか?」と聞いてみたところ、「片言の英語だけという人が多いです。それでもまったくできないよりも、できるほうが役に立ちますし、外国人は安心できるはずですから」といいます。語学力そのものよりも「物怖じしない」、いわばコミュニケーション能力みたいなものが、外国人相手の観光タクシーの運転手には大切だ、というのです。

 「なるほど、タクシーの運転手さんも、当たり前のようにコミュニケーション能力が求められるのか」と、当然といえばそれまでのことに、私が勝手に感心していると、運転手さんがさらに興味深い話をしてくれました。それは、運転手さん自身の前職のこと。ずっとタクシーに乗っていて、語学力を磨いて、いまの仕事をしている、というわけではなかったのです。

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