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» 2014年03月28日 08時00分 公開

利用者激怒、信頼失墜……交通機関のストライキに効果はあるのか?杉山淳一の時事日想(5/6 ページ)

[杉山淳一,Business Media 誠]

鉄道はストライキを実行しにくい?

 子供のころの私は、鉄道ストライキというと気分が高揚したものだ。学校が休みになるし、隣の駅まで線路上を歩いてみようか、なんて冒険もできそうだった。昔も今も線路立ち入りは御法度だけど、当時はストライキに入ると線路を歩いて通勤する人も多かった。

 厚生労働省の調査によると、1974年のストライキは9500件以上もあった。交通機関だけではなく、あらゆる業種でストライキが起きていた。それに対して2000年代前半は300件、後半は100件、2011年は57件と、1962年の統計調査開始以降最低となった(参照リンク、PDF)。その理由として、労働者の非正規雇用が増え労働組合参加者が減っていること、第三者による調停で解決する事例が増えていること、終身雇用から労働市場の自由化にシフトしたため、会社の待遇が不満なら転職、という、個々の処世術が広まっていることなどが取りざたされている。

 鉄道に関しては、近年、ストライキを実施しづらい状況になりつつある。相互乗り入れや自動改札の普及により、1社だけのストライキが他社に影響を与えかねないからだ。例えば、東京メトロ半蔵門線の車両基地は東急田園都市線の鷺沼駅にある。もし東急がストライキを実施すると、ストライキを実施しない東京メトロ半蔵門線も停まってしまう。東武鉄道の乗り入れ車両は運行できそうだ。しかし東武鉄道としては、代わりの電車が来ないなら、自社の車両を渡せない。相互乗り入れをストップするだろう。

 ストライキの準備としてあらかじめ車両の貸し借りをしておくとして、始発前に妥結したら元に戻さなくてはいけない。あるいは、半蔵門線の回送電車だけは走らせるか。しかしそれを見た東急線利用者はどう思うだろうか。ストライキ突入後に妥結したら、いかにダイヤを回復させるか。そのあたり、面倒なことばかりである。

 電車を走らせたまま「集改札ストライキ」という戦術もある。これは改札口を無人化し、切符の販売もしない。電車は走っているから、お客さんはタダで乗れる。会社にお金が入らないだけで、利用者には迷惑がかからない。ところが、いまや自動改札機が活躍し、もともと無人である。自動改札機は労働組合に加入できないし、駅員が自動改札機の電源を切るという行為が合法なストライキとして認められるだろうか。認められたとして、入場の記録がされないIC乗車券は、相互乗り入れ先の改札機で引っかかってしまう。やっぱり利用者に迷惑をかける。

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