ちなみに、朝鮮労働新聞は韓国の人権侵害についても記事を出している。韓国の北朝鮮情報専門サイト、デイリーNKによれば、労働新聞は4月30日付で「南朝鮮の人権問題――世界最悪」という記事を掲載した。
「彼らは『政府』や『法』があると言うが、傀儡(かいらい)以外の何ものでもない。植民地支配のアメリカ人に使われている道具に過ぎない」。韓国で北朝鮮寄りの発言がネットで削除されていることなどについて、「民主的な権利や政治的な自由も、無情にも侵害されている」と糾弾した。また韓国は「失業と貧困」の国だとも指摘する。
北朝鮮は、国連の報告書をまとめた国連調査委員会のマイケル・カービー委員長にも、中傷の矛先を向けている。カービー委員長はゲイであることをカミングアウトしているが、北朝鮮はKCNAを通じて「『報告書』をまとめたカービーについてだが、40年余りの長きにわたる同性愛者である、気持ち悪い年配の好色な人物だ。彼は現在、70歳を超えているが、いまだ同性愛のパートナーと結婚しようと望んでいる」と批判し、「そんな同性愛者が他人の人権問題を扱っているとは話にならない」と、無茶苦茶な言い草で一蹴している。
まさに言いたい放題である。私たちなら口にするのもはばかられるようなコメントを容赦なく行うことが、新体制になっても孤立が続く北朝鮮が、世界から忘れられないための新たな戦術なのかもしれない。だとすれば、作戦は今のところ、十分に成功していると見ていいだろう。ただ、もうこれ以上ないくらい辛辣な表現をしているだけに、次はどう出るのか気になるところではある。
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