土肥: ワタシの知り合いがこんなことを言っていました。「飛行機を操縦するなんて、そんなに難しいことじゃない。だって、離陸と着陸のときだけ操縦していて、あとは自動操縦なんだから」と。コックピットの中には、いろいろなモノがありますよね。クルマのハンドルような操縦輪とか、ボタンなどが。
近藤: 自動操縦のときには、基本的に何もさわっていないですね。ハタから見ていると、パイロットって何もしていないなあ、と思われるかもしれません。ただ、頭の中は相当なスピードで回っているんですよ。
土肥: 何を考えているのでしょうか。
近藤: 例えば、エンジンが壊れたらどうしたらいいのか。そのとき、どこに着陸すればいいのか。といった感じで、起きてはいけないことを考えることもありますし、この先揺れるのかなあとか、キャビンでは何をしているのかなとか。あと、前に飛んでいる飛行機はどこの飛行機かな。その飛行機を抜くことはできるかな、できないかな。到着先が同じだったら、できれば抜きたいなとか。
土肥: ハハハ、なんですかそれは。
近藤: もちろん無茶をしているわけではないですよ。ただ、お客さまにとっては、早く到着したほうがいいので、可能な範囲で前の飛行機は抜く。
土肥: そこはオレの腕の見せ所……といった感じですか?
JALのフライトシミュレータ(左)、フライトシミュレータで訓練中(右)
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