ミドリムシが世界を救う? そんな時代がやって来るかもしれない仕事をしたら“ミドリムシ”が増えた(前編)(1/6 ページ)

» 2013年01月23日 08時02分 公開
[土肥義則,Business Media 誠]

 「ミドリムシ」と聞いて、どんなことを想像するだろうか? 知らない人の中には「青虫じゃないの?」「ミトコンドリアのようなもの?」と答えるかもしれない。残念ながら、いずれも答えは「否」だ。

 ミドリムシ(学名:ユーグレナ)の体長は0.1ミリ以下で、藻の一種である単細胞生物。植物と動物の間の生き物なので、両方の栄養素を作り出すことができるのだ。栄養素の数は、なんと59種類にも及ぶ。それだけでなく、体内に二酸化炭素を取り入れ、太陽のエネルギーから光合成を行うことができたり、体内に蓄えた油を使って飛行機の燃料として使えるかもしれないのだ。

 「食料、栄養、地球温暖化、エネルギー。これらの問題は『ミドリムシ』が解決する」――こう語るのは、昨年12月に東証マザーズに上場したユーグレナの出雲充社長だ。現在、沖縄の石垣島でミドリムシを大量培養しているが、ミドリムシを研究することでどんなことが分かってきたのか。Business Media 誠編集部の土肥義則が、話を聞いた。前後編でお送りする。

ミドリムシは、植物のように光合成を行い栄養分を体内に溜め、動物のように細胞を変形させて動く(出典:ユーグレナ)

ユーグレナは“救世主”

土肥:いきなりですが、出雲社長の仕事を誤解されている人も多いのではないでしょうか。「ミドリムシを増やしている」「ミドリムシで世界を救う」と聞けば、「この人、大丈夫かな……」といった感じで“引いてしまう”かもしれません(失礼)。

 正直に言うと、私もそのひとりでした。広報のYさんから「ミドリムシから緑汁を作ったんですよ。ドイさんも飲んでください」と手渡されたときには、ちょっと引いてしまいました(すいません)。

 でも私のような素人でもミドリムシのことをちょっと調べると、面白いんですよね。植物のように光合成をするのに、動物のように動く。しかもたくさんの栄養が詰まっている。ミドリムシをうまく利用すれば、地球温暖化や食料問題などが解決できるかもしれない。そんな“救世主”を、ユーグレナは増やすことに成功されました。

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