インタビュー
» 2013年01月23日 08時02分 公開

仕事をしたら“ミドリムシ”が増えた(前編):ミドリムシが世界を救う? そんな時代がやって来るかもしれない (4/6)

[土肥義則,Business Media 誠]

出雲:昔、日本では蚊帳の中で寝る人が多かったですよね。蚊に刺されたくないので蚊帳を設けて、その中で布団を敷いて寝る。でも蚊帳に入るときに蚊が入れば、刺されてしまう。ではどうしたらいいのかというと、蚊帳を二重にすればいい。それでも刺されたら、三重にすればいい。それでも刺されたら……四重、五重にすればいい。

 その発想でミドリムシを増やそうとすると、莫大なコストがかかってしまうんですね。プールに悪い虫が入ってこないように蚊帳のようなものを造って……という発想だと。そこで、私たちは“蚊取り線香方式”を採用しました。プールの中に入っている培養液はミドリムシにとっては平気なのですが、悪い虫が培養液の中に入ってくると、その虫は死んでしまう。

土肥:なるほど。出雲社長はミドリムシのことを「お嬢さん」と表現されましたが、一方の悪い虫はどのように見えますか?

出雲:本当に悪い奴ですよねえ(苦笑)。専門の先生には申し訳ないのですが、特にミジンコは悪い奴。まるで“掃除機”のようにチュルチュルチュルとミドリムシを吸っていくんですよ。1分間で500匹もですよ。そういうシーンを顕微鏡でみると、「この悪いミジンコめ……」となるわけですよ。

土肥:逆に、ミドリムシが微生物を食べたりするんですか?

出雲:それはありません。ミドリムシは常に食べられる立場なんです。けなげにミドリムシがいろいろな栄養素を作って、たくさんの生き物がミドリムシを食べて生活をしている。例えば、魚の目などには「DHA(ドコサヘキサエン酸)」が含まれていますが、これは魚が作り出しているモノではありません。ミドリムシがDHAを作って、そのミドリムシをミジンコが食べる。そのDHAがミジンコにたまり、ミジンコを魚が食べる。そして、その魚に含まれているDHAを人間が食べる。そう考えると、もともとDHAを作っているのはミドリムシなんですね。

 食物連鎖で言えば、ミドリムシは一番下に位置しています。5億年前からずっと食べられることで、地球を支えてきました。ミドリムシの仲間である藻類が出現する前の地球には、バクテリアしか存在していませんでした。大気の成分はほとんど二酸化炭素だったのですが、あるときミドリムシが海に生まれてほかの藻類と一緒に光合成したことで、二酸化炭素を酸素にしていきました。そうして生き物は水中から地上へと出ていけるようになりました。つまり、人間もミドリムシがいなかったら、存在していないんですよね。

ミドリムシを粉末にする機械(スプレードライ、左)、ミドリムシを粉末にしたもの(右)

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