一般的に言う「うつ病」というのは、医学的には「気分障害」と大きく分類される中の「うつ病性障害(大うつ病)」となります(本記事ではでは簡便のため、「うつ病」と呼んでいます)。気分障害の中には他にも双極性障害(躁うつ)などがありますが、ここでは一般的である「うつ病(大うつ病)」について書きました。
米国精神医学会によるうつ病の診断基準によると、この3つを満たす場合にうつ病と診断されます。
また、上の3つの条件を満たさない場合でも下記1〜8のいくつかの症状がそれなりに長い期間続いている場合には「気分変調性障害」と診断されることがあり、これも「気分障害」のうちの1つです。
重要なこととして、「うつ病」の特徴は、女性においては男性の2倍、20代半ばで発症することが多く、日本人の7〜15人に1人は一生のうちに一度はうつ病を経験するということが挙げられます。
また、身体に病気を抱えている場合にうつ病にかかるリスクは上がってしまうという事実があり、痛みを伴う慢性の病気では2〜3人に1人、がん患者では3人に1人が発症してしまうと言われています。(出典:『標準精神医学』)
原因として詳しいことはいまだに分かっていませんが、ストレスとなるできごとや、親からの不十分なケアなどの経験を含めた環境的要素が発症に関与していることが知られており、これらに加え、遺伝的要素も無視できないという事実もあります。
20〜39歳の日本人の最多死因は自殺ですが、この自殺を引き起こすうつ病は「単なる怠けである」などといった間違った認識を持たれやすく、診断に至っていないケースが少なくないと言われています。間違った認識を改めれば、他の病気よりも周りの人たちが治療に参加できる程度が高いとも言えるでしょう。
日本うつ病学会においても、うつ病と診断されていない「潜在的うつ病患者」がとても多いことを問題視しており、「言葉によってケアすること」とあわせて「医療機関に導いてあげ、適切な治療を受けてもらう」ということも周囲の人たちができる治療にほかなりません。(川良健二)
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