葉巻の形をしたクッキーで、食感はサクサク――。多くの人が一度は口にしたことがあるヨックモックの「シガール」が、アラブ首長国連邦(UAE)で売れている。同社がパートナー企業と組んで現地に初出店したのは2012年10月。最初の1年は手探り状態だったが、軌道に乗ってからは出店を加速し、現在は17店舗まで拡大している。
バターが多く配合され、小麦粉はつなぎ程度にしか使われていない「シガール」。すべて日本で製造しているので、輸送コストなどの影響で現地では日本の約2〜3倍の価格で販売されている。それでも、UAEの人たちは大量に購入するという。
なぜシガールが、中東でこれほど人気を博しているのか。広報チームの上山由利子さんに理由を聞いたところ「甘いモノが好きな人が多いので、たくさん購入していただいています。『パーティや贈答品に100箱欲しい』というお客さまもいますし、ガラス工芸品に入った商品……ひとつ10万円ほどするモノも売れていますね」。UAEの1人当たりのGDP(2013年)は4万3876ドルで、日本の3万8491ドルを上回っている(ジェトロ調べ)。また医療費や教育費などが無料なので、消費意欲が旺盛。こうした背景もあって、大量に購入する人が多いようだ。
日本のように箱入りのモノを2〜3箱といった感じではなく、トレーにディスプレイされたモノをそのまま購入する人も珍しくないという。UAEでは日本と違って“大人買い”をする人が多いようだが、食習慣に違いはあるのだろうか。「UAEでは、まず試食をしてから購入するかどうかを決める習慣がありますね。また、オフィスや自宅でトレーなどにお菓子を並べてもてなす習慣があるので、それに対応した商品は好評ですね。例えば、大きな皿に山ほど菓子を盛り付けて、それを冷蔵宅配しています。なぜ冷蔵宅配かというと、現地は暑いので常温で配達すると、商品が溶けてしまうんですよね」(上山さん)
同社は現地の食習慣をうまく取り入れているようだが、店舗運営は“日本式”を導入している。例えば、接客。基本は英語で対応するが、スタッフは両手でドアを開けて「いらっしゃいませ」、深くお辞儀をして「ありがとうございました」と日本語であいさつ。また、商品が少し曲がっていても真っすぐにしたり、指をそろえて商品を指したり、商品を丁寧に包装したり、日本の店舗と同様の“おもてなし”を徹底している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング