新技術で再生プラスチック61%増を目指す――シャープ
環境対策でシャープが新技術を開発した。これまでは回収したプラスチックを雑貨などに使用してきたが、今後は家電製品に生まれ変わる。同社では2008年度に、再生プラスチック1000トンの使用量を見込む。
シャープは8月29日、これまで廃棄処分にしていたプラスチックを家電製品の部材としてリサイクルできる新技術を発表した。対象となるのは使用済みの冷蔵庫や洗濯機で、新技術により新たな家電製品の部材に生まれ変わる。この技術によって、2008年度の再生プラスチックの使用量を1000トンに拡大する方針を示した。
同社では2001年度から、家電4品目(テレビ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機)から古いプラスチックを回収してリサイクルを実行してきた。これまでプラスチックから雑貨などの部材にリサイクルを行ってきたが、商品の焼却でCO2の排出が課題になっていた。こうした問題も、家電から家電へのリサイクルによって解消できるという。
さらに従来方式のままだと、2006年度の再生プラスチックの使用量620トンが限界だと判断。新技術の導入によって、2007年度は再生プラスチックの使用量800トンを見込んでいる。
プラスチック再生のため3つの新技術を導入
新リサイクルシステムの導入にあたり、他社と共同で新たに3つの技術を開発した。それは金属除去ラインの新設、高純度PP分離回収技術、プラスチック着色技術だ。
シャープや三菱マテリアルなど7社が共同で出資している「関西リサイクルシステムズ」で、プラスチックに付着している金属などを回収する。プラスチックを金属探知機に通すことで、効率的に不要なものを除去する。
2つ目は、高純度PP分離回収技術を開発することによって、純度99%以上のPP(ポリプロピレン:プラスチックの中で広く使用されており、軽く耐熱性が高い)を分離して回収する。
3つ目は宇部興産の着色技術によって、プラスチックに付いた不純物などを見えなくした。外見上は新品同様で、何度リサイクルしても色に変化は出ないという。
環境安全本部の谷口実氏は「9月から冷蔵庫の外装部材に、リサイクルしたプラスチックを採用する。今後は冷蔵庫以外にも、洗濯機のふたなどを回収して、新たな家電製品の部材に再利用していきたい」と語った。
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