花にもトレーサビリティ――“ブランド化”で買う人は増える?
外国産の輸入花が急増している。輸入に対抗するため、日本産の花の“ブランド化”を進める動きがでてきている。果たして高品質な花を買う人は増えるだろうか?
10月11〜13日、花業界最大の展示会「第4回国際フラワーEXPO IFEX(アイフェックス)」が幕張メッセで開催されている。今年は過去最高の750社が30カ国より出展、新品種の生花など花関連商品が一堂に会する。
30もの国が出展している背景には、ここ数年、花の輸入が急速に増えていることがある。農水省によると、2006年の花の輸入量は11億300万本で前年比6%増、9年連続で伸びている。アジアや南米、アフリカなどから輸入される花は国産の花より低価格なものが多いため、花業界では価格競争が繰り広げられているのだ。
迎え撃つ格好の日本勢は、花の“付加価値”によって業界を活性化しようという動きが出ている。その1つが花のトレーサビリテ(生産、流通の履歴をたどれるようにすること)だ。
食品業界では産地偽装などの問題があり、消費者に「安全・安心」をアピールするため、トレーサビリティを進めている。だが花業界では、こうした問題には直面していないこともあり、これまでトレーサビリティを導入していなかった。日本フローラルマーケティング協会(JFMA)はトレーサビリティ導入によって、外国産の花との差別化を図り、輸入品に対抗していく構えだ。2006年にJFMAは、花の生産や環境負荷の低減、品質の管理などを認証するMPS(Milieu Programma Sierteelt、花き園芸農業環境プログラム)を2006年にスタートさせた。
トレーサビリティによって4つのブランド化を目指す
「お店で売っている花について、情報を入手することは難しい。今後は花の生産から流通、販売までのトレーサビリティを確立していきたい」――JFMAの松島義幸専務理事は抱負を語った。
MPSを導入した場合、生産者は環境に影響を及ぼすデータを、1年間提出しなければならない。これによって環境負荷を減らした花を商品として出荷する。そして生産や流通の方法などを把握し、基準を満たせばMPSとして認証する。
トレーサビリティの導入によってJFMAは、花、店、産地、環境という4つのブランド化を目指している。高品質による花のブランド化、「四万十マム」(ブーケなどに使われる)など産地によるブランド化、環境に優しい生産者の花という環境のブランド化、こうした花を販売している店のブランド化だ。
MPSの本格稼動は2008年1月
2006年度の花市場は約1兆2000億円で、ここ数年横ばい状態が続いている。消費の特徴として、業務用が4割、ギフト用と個人用が3割ずつだ。総務省の統計によると、過去1年間で花を買ったことがある人は10人中4人だ。
MPSは1994年、オランダでスタートした。その後、オランダの花市場の規模は、過去10年で倍増した。現在、34カ国でMPSの認証プログラムを実施している。松島氏は「日本ではこれからだが、スタートラインに立てた」という。しかし生産地表示や品質を保証した販売で、日本の花市場を拡大することができるだろうか。MPSの本格稼動は、2008年1月の予定だ。
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