5部屋で2万8335円、社宅を廃止する企業が急増
2000年以降、急激に減少している社宅。バブル崩壊後、景気低迷によって社宅廃止の傾向は強まっているが、従業員にとっては金銭的な負担が大きくなりそうだ。労務行政研究所調べ。
社宅や独身寮を保有していることで、「会社の福利厚生は充実している」などと強調していたのも過去の話。1990年ごろには、社宅を持っている会社(上場企業、または上場企業に匹敵する非上場企業)は7割に達していた。しかし2000年以降、社宅を保有していた企業のうち58.5%が統合または廃止していることが、労務行政研究所の調べで分かった。
社宅は維持管理費などの経費が掛かるため、バブル崩壊後、統合・廃止の傾向は強まっている。また民間の賃貸物件と比べ、社宅の賃料は安く「入居者と非入居者の間に不公平が生じてしまうことも、社宅を見直す一因となっている」(労務行政研究所)。また現在、社宅を保有している企業のうち3割は、今後廃止などの意向を示しており、社宅はますます減少していきそうだ。
郵送による調査で、全国証券市場の上場企業(新興市場での上場企業も含む)と非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)の計326社が回答。調査期間は2007年10月3日から11月30日まで。
社宅の平均賃料、東京圏の相場と比べ6分の1〜7分の1
社宅のある場所や築年数などによって、賃料に違いはあるだろうが、平均していくらぐらいだろうか。平均は3部屋(2DK、3K)で1万5169円、4部屋(2LDK、3DK、4K)で2万715円、5部屋(3LDK、4DK)で2万8335円。地域や設備などによって金額の開きはあったものの、4部屋の賃料は1万円〜2万円台が6割を超えた。
ちなみに住宅新報社の調査によると、東京圏の賃貸マンション家賃相場(2007年9月時点)は、3部屋で平均10万8000円、4部屋で同13万6000円。家賃の高い東京圏との比較ではあるが、社宅賃料は6分の1〜7分の1で、社宅に入居する従業員にとって金銭的なメリットは大きいことが分かった。
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