片付けが上手な人にあって、下手な人にない「3つの力」:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
筆者は片付け下手なのだが、上手な人には3つの“片付け力”が備わっていることに気が付いた。どのようにすれば上手に片付けられるのか? モノと考え方、両面から探ってみよう。
片付け上手は空間利用がうまい
一方、片付け上手の人は「このスペースや隙間、どう活用しようか?」と考える。大和ハウスが賃貸住宅向けに開発した収納システム「しまいごこちユニット ワンステップクローゼット」は“収納=暮らし快適ツール”がコンセプトだ。
片付けのプロである近藤典子氏(アメニティアドバイザー)のアイデアを商品化したもので、ウォークイン・クロゼットに似て、物入れの中に一歩踏み込む。そこではぐるりとすべてのモノを見渡せる。大きさと使用頻度によってゾーニングを作り、“指定席”と“自由席”に分ける。指定席にはあまり使用しない大きなモノを置き、自由席には奥へ手前へ、使用頻度によって動くモノがくる。保管や出し入れ、増減にフレキシブルに対応する優れた収納システム。
ブラックホールの教訓と近藤さんのアイデアから、片付け上手には3つの“片付け力”があると感じた。それは「3D視点」「動線」、そして「意思決定」だ。
3つの“片付け力”
3D視点とは、スペースを使い切るために立体視点で、収納スペースをゾーニングするスキルだ。切り口は2つある。1つめは“時系列”、つまり使うモノは手前、古いモノは後ろにする。もう1つは“カテゴリー”、モノの種類にこだわらず行動パターンでモノをまとめる。
のど飴とマスクとティッシュは商品種に区別すると別々だが、花粉症の季節には一緒に販売するのが“カテゴリー陳列”である。それを真似て商品種カテゴリーにこだわらず、生活パターンや思い出ごとにまとめる。お土産や写真、パンフレット、チケット半券などは“思い出収納”する。我々の心の引き出しはそうなっているが、そんな視点で開発された収納グッズや家具は多くない。
ロングセラーの経営書『プロフェッショナルマネジャー』には、“コンテナ化されたオフィス”というくだりがある。国際企業グループの経営者だった著者H・ジェニーン氏のデスクの周りには、常に15個から20個のアタッシュケースがあった。それぞれにグループ会社の資料、仕事のかたまりが詰まっていた。こうしておけば、子会社に合わせてケースを持ち出すだけで出張できる。
有能な人は動線とモノが一致するのだ。出張前に点検して、もPCのACアダプターを忘れる筆者は赤面モノ。動線とモノを一致させると、自宅でも有能な家事マネジャーになれるのだろうか?
片付け力は循環社会に通じる
3つ目は捨てる/残す意思決定。ミステリー作家の原潤iはら・りょう)氏は蔵書を9999冊持ち、1万冊に届きそうになると、最も不要であると判断した本を処分する。整理にはこのくらいの潔さが必要なのだ。
潔くなるために年1回“自宅ショップ”を開くのはどうだろうか。手作りアクセサリーやパン販売、カフェなど、自宅ショップを開く人が増えている。それを真似て不用なモノに値札を付けて売ってしまおう。ちなみに、ネットオークションやリサイクルショップへの持ち込みはダメ。お店を開く効用は“人を招く”、つまり部屋を片付けることなのだ。不用品を買ったことを激しく後悔して、省資源と循環社会を考えるきっかけにしよう。
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