職場の人間関係や長時間労働などが原因で、ストレスを感じているビジネスパーソンは多い。厚生労働省によると、精神障害などに関係する労災請求・認定件数は右肩上がりで増えており、心の病による休職や離職などの増加は社会問題ともいえるだろう。
この3年間でメンタルヘルス不調者が「増加している」と回答した企業は55.2%と過半数に達していることが、労務行政研究所の調べで分かった。特に増加が目立つのは「30代」で51.9%(2005年調査時、39.6%)、次いで「20代」(同27.6%)と、20代〜30代のビジネスパーソンが心の病を患っているようだ。
メンタルヘルスの不調で1カ月以上休職(欠勤含む)している社員が「いる」と回答した企業は62.7%で、前回調査(2005年)と比べ11.8ポイントの増加。休職した社員のうち完全復帰した割合を聞いたところ、「半分程度」が最も多く22.5%、「7〜8割」が21.5%、「ほとんど(9割以上)」が20.4%で、大企業ほど職場復帰する割合は高い。この結果について「大企業では予防面から復職面まで充実しており、その効果が復帰する割合に出ている」(労務行政研究所)という。
郵送による調査で、上場企業(新興市場の上場企業含む)と非上場企業(資本金5億円以上かつ従業員500人以上)の250社が回答した。調査期間は1月30日から3月4日まで。
大企業ほどメンタルヘルス対策の実施率は高い
ビジネスパーソンの心の病を未然に防ぐため、企業はどのような対策を講じているのだろうか? 何らかの施策を「実施している」企業は79.2%と約8割を占め、前回調査と比べ1割ほど増えていることが分かった。
大企業ほどメンタルヘルス対策の実施率が高く、従業員1000人以上では98.9%とほぼ100%。一方で300人未満の企業の実施率は57.0%にとどまったが、前回調査と比べると21.1ポイントも増えるなど、どの規模でも実施率が高まっているという結果が出た。
具体的な施策としては「電話やメールによる相談窓口の設置」が最も多く56.0%、次いで「心の健康対策を目的とするカウンセリング」(52.4%)、「管理職に対するメンタルヘルス教育」(43.6%)、「社内報パンフレットなどによるPR」(35.2%)。従業員1000人以上では、上位3項目の実施率はいずれも8割となっているが、300人未満では1〜3割と規模による“差”が明らかになった。
大切なのは大ごとになる前に“自分で気付くこと”
社員が心の病にかからないよう、多くの企業は対策に注力していることが分かる。しかし一番大切なのは、各自が自分のストレス度合いを把握し、大ごとになる前に手を打つことといえる。
Business Media 誠ではこの春から、自分のストレス度を簡単にチェックできるサービスを開始した。自分のことは分かっているようで、実は分かっていないことも多いもの。「自分は元気、健康」と過信することなく月に1回くらい、自分の心身の状態を確認してみよう。
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