北京オリンピック“特需”がジワリ? デジタル家電の売れ筋&売れ方
ボーナス商戦前にもかかわらず、テレビとレコーダーの台数・金額が好調だ。薄型テレビでは46型、DVDレコーダーではBlu-ray Discレコーダーが市場をけん引するなど、北京オリンピックの需要が立ち上がり始めたようだ。BCN調べ。
聖歌リレーの混乱や英スピード製の水着をめぐる問題で注目が集まった北京オリンピックだが、“五輪特需”はどれくらいあるのだろうか。ある調査によると、北京オリンピックを観戦するために「テレビやDVDの購入意欲が振るわない」という傾向が出た。その理由として「買い替え予備軍が少ない」点などを挙げていたが、5月に入ってからは五輪特需がジワリと出てきているようだ。
調査会社のBCNは6月18日、テレビやPCなどデジタル家電(118品目)の販売金額が4月を底に増加に転じていることを発表した。例年、3月末頃から6月末までは売り上げが落ち込む時期だが、今年は薄型テレビとDVD/HDDレコーダーを中心に伸びており、「ボーナス商戦を前倒しする形で、北京オリンピックの需要が立ち上がり始めた」(田中繁廣チーフアナリスト)と分析している。
薄型テレビの売れ筋商品は?
薄型テレビ全体(液晶+プラズマ)の販売台数の伸び率(前年同月比)を見ると、4月は114.4%だったが、5月が127.5%、6月※が135.3%増だった。販売金額の伸び率(同)でも、4月は101.7%だったが、5月が112.8%、6月が123.0%と伸びが加速している。中でもプラズマの売り上げは低迷が続いていたが、6月に入ってからは金額ベースでプラスに転じた。プラズマの売り上げが好調な理由として、「北京オリンピックの公式スポンサー企業に松下が入っている。オリンピックに関連したCMが多く流れているため、プラズマが売れているのかもしれない」という。
売れ筋となっているテレビの画面はどのくらいの大きさなのだろうか。液晶テレビの売れ筋商品は42型だったが、販売台数の伸び率(前年同月比)は4月以降は低迷傾向にある。42型に代わって販売台数を伸ばしているのは46型で、6月時点で42型に迫る勢いだ。またプラズマでも40型クラスが市場を引っ張っており、中でも46型が伸びてきているという。「メーカー各社では46型に力を入れており、2008年の後半にはさらに販売を伸ばしていくだろう」と見込んでいる。
8月8日に開幕する北京オリンピックだが、テレビの需要は7月の中旬がピークだという。大画面テレビは、週末に時間をかけて家族で購入するケースが多く、逆に中・小型は平日によく売れるそうだ。ということは7月19日〜21日の3連休あたりで、大型テレビの駆け込み需要があるかもしれない。
BDレコーダーのシェア争いが激化
北京オリンピックを控え薄型テレビの販売は好調だが、DVD/HDDレコーダーの需要はどれくらいあるのだろうか。DVDレコーダーは新製品がそろった5月を境に、Blu-ray Disc(BD)レコーダーの販売が好調だ。DVD/HDDレコーダーの5月の販売台数は前月比10.4ポイント増の106.9%、金額は同11ポイント増の118.6%伸ばした。さらに6月は台数・金額ともに前月比20ポイント増に近い伸びとなった。販売好調な理由として「BDレコーダーが本格的に普及期に入り、需要拡大をけん引する形になった」としているが、「まだまだBDレコーダーのすそ野は広がっていない。8月以降は急激な需要増は期待できない」と厳しい見方をしている。
BDレコーダーのシェア(販売台数)を見ると、2008年1月はソニーが6割を超えていたが、4月と5月は4割前後に低迷。代わりに4月・5月は松下電器がシェアトップに躍り出た。6月のシェアはソニーがトップで40.9%、2位松下電器で35.3%、3位シャープで22.6%と、今後もシェア争いが激化しそうだ。
テレビと違ってBDレコーダーの売れ方はPCに近いという。家族で選んで購入するより、1人で買うケースが多い。2006年に行われたドイツワールドカップとトリノ冬季オリンピックでは、開催中にDVDレコーダーの販売が急進した実績があるだけに「日本選手の活躍次第では8月中旬まで需要のピークが続く可能性があるだろう」。日本選手のメダルラッシュが続けば、急いでDVDレコーダーを購入する人が増えるかもしれない。
気になるのは北京オリンピック終了後の販売動向だ。各メーカーは2年前のワールドカップとトリノオリンピックの特需を見込んでいたが、テレビの販売は低迷。その後、テレビの価格が値崩れしたため、今回の北京オリンピックでは慎重な姿勢を見せている。「各メーカーは北京オリンピックの特需を見込んでいなかったため、テレビの部品調達に慎重になっている。そのため北京オリンピック終了後に大きな値下がりはないだろう」との見方を示した。
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