うなぎのかば焼きは25倍の売り上げに――土用の丑の日
戦後の経済成長を経て、日本の家計に占める食費の割合は大幅に低下した。ライフスタイルは劇的に変化しているが、日本の伝統的な食の風習は根強く残っていることが分かった。総務省統計局調べ。
生活必需品を衣食住と表現するが、中でも生きていくために食は一番大切なもの。しかし、生活水準の向上に伴い、家計に占める食費の割合は下がり続けている。
総務省統計局が公表した「家計からみたファミリーライフ」によると、2007年(平成19年)の消費支出に占める食費の割合(2人以上の世帯)は平均で23.0%だった。1965年(昭和40年)には38.1%を占めていたが、必需品以外の支出が増えてきたため、相対的に割合は低下している。世帯主の年齢階級別にみると、70歳以上が25.7%で最も高く、30歳未満が19.8%で最も低かった。
食費の代わりに伸びているのは、通信及び教養娯楽費だ。消費支出に占める割合は1965年には7.7%だったが、「生活に余裕が出てきたことから」(総務省統計局)、2007年には14.4%まで上昇している。
購入金額が急伸する特異日
食費について詳しくみていくと、特定の日に購入金額が跳ね上がる商品があることが分かる。その代表例がうなぎのかば焼きだ。うなぎを食べる風習がある夏の土用の丑の日(下表の2007年は7月30日、2008年は7月24日と8月5日)には、購入金額が年間平均の25倍になっている。
また、節分の日(下表の2007年は2月3日、2008年は2月4日)にはいわしの購入金額が伸びている。いわしの頭の異臭が鬼を追い払うと考えられていたことから、節分の日にはヒイラギの枝にいわしの頭を刺すという風習がある。バレンタインデーやクリスマスなど外国のイベントが輸入されている中、日本の伝統的な風習も根強く残っているようだ。
日別購入金額からは、健康番組が食品の売り上げに与える効果も読み取れる。象徴的なのが、2007年1月の納豆の日別購入金額推移だろう。
2007年1月7日に有名健康番組で「納豆にダイエット効果がある」と報じられると、次の日から納豆の購入金額はそれまでの1.5倍に伸びた。しかし、1月20日に番組が示したデータがねつ造であると発覚すると、その熱狂も沈静化した。
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