日本は“少子・多ペット社会”? ワンコを増やして街おこし:郷好文の“うふふ”マーケティング(2/2 ページ)
犬と猫の数は合わせて約2500万匹、15歳未満の子どもは1750万人――。すでに日本は子どもより、ペットの方が多いのだ。ならばどうやって“共生”すればいいのか。そのヒントはお風呂にある……?
ペットを真ん中に、みんなを巻きこむ
ペットビジネスというとたいていは“擬人化ビジネス”。ペットシッター、ペット保険、ペットカフェにペットレストラン、ペットアパレルにペット肖像画など。捜索願いを出せばペット探偵、落命すればお葬式やお墓。人様にしてあげたいことがビジネスになる。
だが野中社長は米国のビジネスモデルを見た体験から、ペットオーナーや事業者を巻き込む社会型ビジネスモデルを展開する。フリーペーパー『Peiku Magazine(ペイクマガジン)』がその中核にある。
ペイクマガジンの最近のコンテンツを見ると、「ワンコとリゾート(ワンコも一緒に滞在できるリゾート)」「ドッグナビ(街のドッグ関連ショップの紹介)」「ペットにやさしい不動産」「ワンコとドライブ(読者モデルとペット起用)」「カリスマトリマー選手権」など盛りだくさん。そこにコンテンツ同士の相乗効果がある。
ワンコが住みやすい街は人も住みやすい
カリスマトリマー選手権を例にとろう。優秀なトリマーに腕をふるうチャンスを与え、所属店舗はPRできて、オーナーには自分の犬が表紙を飾るという名誉がある。「ウチの犬が表紙を飾る」となれば冊子をたくさんの友人に配るだろう。友人は「ウチの犬もぜひ載せたい!」と願う。ペクマガの設置店舗が増えれば、読者増につながり広告も増える。当のワンコは、たぶんおいしいエサにあずかれるだろう。
“犬も歩けばビジネス相乗効果”。なぜか? それはワンコが住みやすい街は、人にも住みやすいからだ。
ペット設備付きマンションは、立地が悪くても入居率がアップする。ペットに強い不動産会社も潤うし、ペットがらみのお店も増える。地域にペット散歩道が造られ、公園の公衆トイレにうんちダストが配置される。野中社長は「地方の廃校を活用して格安で泊まれるペットリゾートを造りたい」と話し、私は「都心の廃校や閉鎖保育園にドッグランを造ればいい」と返した。
ワンコで街おこし。お風呂好きのワンコが増えれば、街も人も生き生きとする。
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