三菱UFJフィナンシャルグループのモルガン・スタンレーへの出資、野村ホールディングスのリーマン・ブラザーズの一部事業の買収など、日本勢による出資が続いているが、個人投資家はどのような見方をしているのだろうか。「発展するチャンスだ」という人は61%、一方「リスクを背負ってしまった」は39%と、外資への出資を“前向き”にとらえている人が多いことが、ロイターの調査で分かった。
「発展へのチャンス」とした回答者からは、海外展開やノウハウ取得の好機、との見方が相次いだ。「日本勢の弱点を補完しあって相乗効果が期待できる。投資銀行業務がなくなるわけでもなく、金融不安が安定してくると、手数料ビジネスは期待できる」(50代男性)、「次に来る景気上昇局面のための先行投資」(50代男性)との意見があった。
またバブル崩壊後、ようやく日本の金融機関が復活を遂げたことを証明した、という声も目立った。例えば「バブル崩壊時に落ちた競争力を今回のサブプライムショックで大きな痛手を受けていない日本勢が挽回(ばんかい)するチャンス」(60代男性)、「ここで手をこまねいていては、この先も10年負け続けることになる」(30代男性)などがあった。
一方、「リスクを背負った」とした回答者からは「日本の経験から見ても、まだ不良資産の最終予測は困難。高い授業料とならねばよいが」(60代男性)など、出資先の損失拡大を懸念する声が多かった。また「いまだに肝心の住宅価格の下落が定まらない段階なので時期尚早」(50代女性)と、タイミングが早過ぎるという指摘もあった。
米国金融機関の混乱が落ち着き、米国株が本格的に反転するのはどの程度の期間が必要だろうか。「2年以上」「1年以上2年未満」がいずれも35%で、全体の7割が長期的視野で見ているようだ。このほか「半年以上1年未満」は21%、「3カ月以上半年未満」は7%、「3カ月未満」はわずか2%。
インターネットによる調査で、全国の個人投資家906人(男性93%、女性7%)が回答した。調査期間は10月6日から10月9日まで。ちなみに日経平均株価は7日に1万円を割った。
関連記事
- 日本の株式市場の下落率が大きい謎
サブプライムローン問題の被害はそれほど大きくないはずなのに、他国よりも株式市場の下落率が大きい日本。しかし、大幅に円高が進んでいることを考慮すると、実質的な下落率は他国より小さくなるようだ。 - 世界中で株式市場がクラッシュ――2008年の各国市場騰落率は?
- ダウ平均、777.68ドル安で史上最大の下落幅――歴代ワースト10は?
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.