JR九州の「SUGOCA」が登場――注目するポイントは?:神尾寿の時事日想・特別編(4/4 ページ)
3月1日、JR九州の交通ICカード「SUGOCA」がスタートした。SUGOCAは、にしてつ「nimoc」、福岡市営地下鉄「はやかけん」、JR東日本「Suica」との相互利用を当初から想定しており、同社では今年1年で35万枚の発行を目標としている。九州・福岡における「SUGOCA」の今をレポートしよう。
“つばめ”ではなく“カエル”になった理由
ところで交通ICというと、なぜか“マスコットキャラクターを作る”ことが定着している。その老舗にして元祖はJR東日本の「ペンギン」だが、ほかにもPASMOの「ロボット」、JR西日本の「カモノハシ」、JR東海の「ひよこ」、JR北海道の「モモンガ」、西日本鉄道の「フェレット」、琴平電鉄の「イルカ」など、さまざまなキャラクターが“地域の顔”として定着している。ちなみに筆者は交通ICの取材で各地を訪れる度にカードを購入しているのだが、いつしかカードホルダーがキャラクター名鑑のようになってしまった。
さて、SUGOCAのキャラクターは「カエルと時計」である。これは人気デザイナーのロドニー・A・グリーンブラッド氏によるもので、“列車の乗車スタイルを「変える」、駅などの店舗でも「買える」、列車で「帰る」という機能性と、鉄道で重要な「定時性」を表現した”のだという。
しかし、実際のキャラクター選定には、もう1つの大きな理由があったという。それは「鳥類以外だったから」である。
「実は最初にキャラクター選定の話が出たときに、広告代理店の多くが提案してきたのが『つばめ』など鳥類をモチーフにしたものばかりだったのです」(九州旅客鉄道 総合企画本部 カード企画室主査の杉谷昌紀氏)
そう、鉄道に詳しい方なら分かると思うが、九州新幹線の名称は「つばめ」。ほかにも特急列車に「かもめ」もあり、JR九州には鳥類のキャラクターのイメージが強い。
「確かにつばめは新幹線の名称として親しまれていますが、それを交通ICカードにも使うという発想はありませんでした。そこで“鳥類以外の提案”としてデザイン性もよく、我々の目をひいたのが(ロドニー・A・グリーンブラッド氏の)『カエル』だったというワケです」(杉谷氏)
こうして決まったカエルのキャラクター。他の交通ICと比べても、ちょっとテイストが異なっており、なかなか愛嬌(あいきょう)がある。西鉄のフェレット(参照記事)と並んで、福岡のご当地キャラクターとして定着するかもしれない。
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