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ドアの選び方であなたの賢さが分かる!?――モンティ・ホール問題とは現役東大生・森田徹の今週も“かしこいフリ”(3/3 ページ)

3枚のドアの中からアタリのドアを選ぶ確率を上げるにはどうすればいいのか? 今回は森田徹氏に代わって、クラブ仲間の小泉勇貴氏が全米で大論争になったモンティ・ホール問題を紹介する。

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情報が行動の成否を決める

 モンティ・ホール問題の面白いところは、情報量の違いがそれぞれのドアの評価を大きく変えてしまうことです。最初はどのドアを選んでも当たる確率は3分の1ですし、司会者の行動やゲームのルールを知らずに、ドアを選び直すチャンスを与えられるシーンからこのテレビ番組を見始めた人にとっては、どちらのドアを選んでも当たる確率は2分の1です。しかし、このゲームの流れを見てきた人は、ドアを選び直して当たる確率を3分の2にできるのです。

 「情報戦」という言葉がありますが、どんなことであっても情報は結果を大きく左右する重要な要素になります。例えば、路上喫煙者から罰金を徴収する新たな条例が施行された際、「そんなの聞いていないよ」と罰金を言い渡されて怒っている人が、ニュースなどで取り上げられることがあります。その人は新条例の情報を知らなかったために、不快感と罰金という二重の損害を受けてしまったわけです。また、好きな異性を誘って食事に行った時に、相手の嫌いな食べ物が出てきた時の気まずさといったらありません。「相手は●●が食べられない」という情報を手に入れてなかったために、楽しい食事とチャンス(?)が台無しになってしまうわけです。

 そう考えると、気遣いや気配りがうまい人というのは、この情報戦がとても得意な人だということができます。「知人経由で相手の欲しい物を聞き出して、誕生日にサプライズでプレゼントを渡す」という演出などは情報戦の最たるものです。

 また、大して能力があるわけでもないのに、先輩や上司の評価が高くて好かれている人というのは、その先輩や上司が喜ぶ言動に関する情報をたくさん持っていて、その情報をまとめたルールブック通りに振る舞うことで相手の機嫌を取り、高い評価を勝ち取っているわけです。「私のこと何でも分かるんだね」「すごく気が利くね」「仕事というものが良く分かっているじゃないか」……これらの褒め言葉は、たいていの場合、情報をうまく駆使できないとかけられることがない言葉です。なので、こうした言葉を掛けられる情報戦の得意な人は、たいていどこに行ってもうまく振る舞うことができ、こうした褒め言葉をかけてもらえるのではないかと思います。

 逆にこうした気遣いや気配りの類が不得意な人は、情報量の違いが成否や結果を大きく左右するということを意識してみてはいかがでしょうか? いろいろな方向にアンテナを張っておくだけでも、随分と弱点が克服できるのではないかと思います。観測範囲内にありながらも見えていないということは、“知らない”ということと同義なのですから。これは私も大学受験や株式投資で何度も痛感していることです(株式投資の場合は情報の量と同じくらい質も問われることになりますが)。

 情報の大切さを教えてくれたモンティ・ホール問題、皆さまに楽しんでいただけたなら幸いです。もし身の回りに頭が良いとされている人がいる時には、この問題を出してみると面白いかもしれません。その人が本当に頭が良いのか、それとも“かしこいフリ”をしているだけなのか調べるテストになるのではないでしょうか。ちなみに、本コラムで普段“かしこいフリ”をしている森田君は見事にひっかかっていました。

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