Canon Dial35の代用電池を作る:-コデラ的-Slow-Life-
昔の水銀電池で動くカメラは、電池をどうするかが大きな課題だ。Canon Dial35向けの水銀電池はもう製造中止となっているので、自分で代用電池を作ってみた。
Bell&HowellのDial35は、ファインダーの曇り以外は完動品ということで、それ以上中身はいじらなかった。一方、日本向けのCanonブランドのDial35は、露出計が動かないので、とりあえず電池を入れて現状を確認してみることにした。
日本向けモデルの電池は、もう製造中止になっている胴長タイプの水銀電池である。太さは単三電池、長さは単五電池ぐらいのサイズだ。ただし電圧は1.5ボルトとサイズの割には低い。とりあえずここに入る代用電池を作る必要がある。
太さ的にも長さ的にも、ボタン電池のLR44が2つ分というのが一番近い。ただ2つを直列で入れると、電圧が3ボルトになってしまう。それでも動くという報告もあるのだが、元々1.5ボルトで設計された回路に常時2倍の電圧をかけ続けるというのは、古いカメラなだけに避けたいところだ。ということは、ボタン電池2つを何とか並列つなぎで入れる仕掛けが必要となる。
並列つなぎにする仕掛けは、ワッシャーとシールド線を使って作ることにした。要するに2つのボタン電池の間を絶縁して、プラスとプラス、マイナスとマイナスがつながるような導線を作るわけである。鉄製のワッシャーは表面にさび止めのメッキが施されていて、そのままではハンダ付けできない。ドライバの先で表面を削り、ハンダ付けする。
マイナス側の先端は、現在の乾電池のプラス極のように、少しでっぱらせる必要がある。これにはスナップの凸側を利用することにした。
太さの調整は、適当なビニールパイプに電池ごと突っ込むことで解決した。内径14ミリ、外径16ミリでちょうどいいようだ。DIYショップでゴムホースを量り売りで買ったのだが、こういうものは短いものをジョイントして使う可能性があることから、内径と外径をきちんと表示してある。10センチ単位で売ってるので、本当に10センチだけ切ってレジに持って行ったら、妙な顔をされた。でも何メートルも買ったら一生使い切れないので、しょうがない。
あれ? 壊れてない?
電池を試作して、試しに入れてみたところ、露出計がちゃんと動いた。どうも露出計が動かないと思われたのは、電池の入れ方が間違っていたか、そもそも電池残量がなかったということかもしれない。昔の水銀電池は、今の乾電池とはプラスとマイナスが逆なので、電池のイラストを見て逆に入れてしまうケースがある。
Bell&Howell機と比べても露出計の動きは遜色(そんしょく)ないようだ。しかしせっかく中身の開け方が分かったことだし、こちらも中身を掃除しておくことにした。
中を開けて分かったのだが、どうもこのCanon機は誰かが一度開けたことがあるようだ。Bell&Howell機の方は、距離計レバーの取り付け部分が、内部反射防止として黒いテープでカバーされていたが、Canon機の方はこのテープがない。その代わり、黒マジックで塗りつぶしてあった。たぶんメーカーではこういうやり方はしないだろうから、誰かが施したのだろう。
内部のモルトの腐食は、Bell&Howell機ほどではなかったが、やはりすでにカビの巣窟と化していたので、全部はがして張り替えておいた。
ビューファインダーのレンズは大丈夫だったが、露出計表示を映し出す透過版にゴミがたまっていた。このあたりは、どうもゴミが吹きだまるような構造になってしまっているようである。ここも綿棒でクリーニングして、きれいに見えるようになった。
昔の水銀電池で動くカメラは、電池をどうするかが大きな課題である。だが電圧がだいだい合っていれば動く。多少の電圧の違いで露出にズレが出るとする説もあるが、もともと昔の露出計など、そんなに正確な値を示すわけでもない。絞り1段ぐらいのズレは、今のネガフィルムのラチチュードだったら、カバーできてしまう。あとはぐらつかないよう、サイズをどう調整するかの問題だけのようだ。
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