ユニチカは8月27日、活性炭繊維で揮発性有機化合物(VOC)を吸着・除去する自動車用の「高性能VOC除去シート」を開発したと発表した。VOCキャッチャー剤では放出を抑えるのが難しかった低級アルデヒド(ホルムアルデヒドやアセトアルデヒドなど)を吸着・除去することにより、車内のVOCを低減できるとしている。
VOCは、常温で大気中に揮発する有機化学物質の総称。トルエン、ベンゼン、フロン類、ジクロロメタンなどがあり、大気や水の中に放出されると公害や健康被害を引き起こす。新築住宅への入居がきっかけとして体調不良になるシックハウス症候群も建材や内装材などから放出されるVOCが原因とされ、その対策として厚生労働省により13物質の室内濃度指針値が策定されている。
車内のVOCに関しても、日本自動車工業会により「車室内VOC低減に対する自主取り組み」が策定され、乗用車は2007年度発売の新型車から、トラックやバスなどの商用車は2008年度発売の新型車から、厚生労働省が定めた室内濃度指針値を満たすための取り組みが行われている。
同社が開発した高性能VOC除去シートは、活性炭繊維に特殊な化学処理を施し、低級アルデヒドを化学的に活性炭内部に固定化できるようにしたもの。従来の同社製活性炭繊維シートに比べて、3〜10倍の低級アルデヒド除去性能がある。また、燃えにくく、ほこりも出にくいので、自動車の座席シートやフロアカーペット、ドアの内張、天井材といった内装材とも一体化しやすいという。
ユニチカでは、同シートは低級アルデヒドの吸着速度が非常に速いため、住宅やオフィス、工場などで使用する空調フィルターなどにも用途展開していくとしている。
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