三菱地所は10月5日、新丸の内ビルに開設している環境戦略拠点「エコッツェリア」のオフィス部分をリニューアルし、「知的照明システム」と「輻射(ふくしゃ)空調システム」を核とした「次世代低炭素型技術実証オフィス」を設置したと発表した。
知的照明システムとは、就業者が最も快適と感じる照明の照度・色温度を、各自のPCなどから設定できるというもの。三菱地所によると、「照度を必要な量に抑えられることで省エネが実現できる上に、個々人に合った照明にすることができるので就業者の生産性向上もはかれる」という。
輻射空調システムでは、熱が物体を介さずに高い温度から低い温度に移行する性質(輻射)を利用。壁や天井にパネルを設置し、パネル内のパイプに16度〜34度の冷温水を循環させることで冷暖房を行う。
輻射を利用すると体感温度に働きかける効果が大きいため、設定温度を冷房時は高め、暖房時は低めにしても、実際の温度より快適に感じるという。システム開発を担当したトヨックスの宮村正司社長は、「同じ設定温度でも、従来空調より2.5度ほど低く感じる(冷房時)」とコメントしている。
エコッツェリアのオフィス部分の面積は約80平方メートル。約10人の三菱地所社員が実際に勤務、実証数値を1年間計測して性能評価を行う。三菱地所の木村惠司社長は「新しい技術にどんどんトライしていき、実験して使えると思えばほかのビルにも適用していきたい」と意気込みを語った。
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