電子レンジ以来の発明!? 家庭で使える真空調理器の可能性:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
調理の際に内部まで熱を通せ、細かく温度調整ができるだけでなく、食材のうまみも逃がさないといった利点もある真空調理法。これまでは高価な業務用機器を使うしかなかったが、10月に米国で家庭用の真空調理器が発売された。
家庭用の真空調理器という革新
10月下旬にSousVide Supremeを全米で発売して以来、各地を飛び回るイーデス夫妻。「真空調理法はメリットがたくさんあるのに、家庭でそれをしようとは誰も考えませんでした。なぜなら家庭用の調理器にまともなものがなかったからです」とメアリー・イーデスさんは語る。
大量に事前調理できるメリットがあるので、導入するレストランは増えている。日本でも一流レストランで導入が進んでいる。だが機器の費用が高価なため、家庭への導入は少なかった。しかし、SousVide Supremeは本体449ドル(約4万円)、真空パックもジップロックと安価なハンドポンプ(1000円くらいで購入可)でOK。レシピマニュアルに従えば、柔らかくて香ばしいローストビーフを誰もが作れる。小規模の料理教室やホームパーティにもぴったり。2010年には米国外での販売も計画している。
料理の可能性は無限
なぜ料理と科学を結び付けられたのか? それは開発者夫妻が“ドクター”だから。メアリーさんは栄養学的な見地から肥満治療をすすめ、マイケルさんはメディカルエンジニアリングの学位を持つ。
「地球上の多くのコミュニティに、この調理法を広めたいと思います」
そう彼らは言う。それはきっと夢幻の話ではない。料理の道は奥深い。例えば、塩加減1つにしても、一気に入れるより、少しずつ入れる方が少量で済み、しょっぱさも深まる。味覚と調理の関係には、まだたくさんの研究の余地がある。その試行錯誤の先にこの真空調理があったとしても不思議はないはずだ。
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