コラム
2010年、バレンタインのキーワードは“おウチLOVE”:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
不況が深まり、景気の二番底割れも懸念されている昨今。そんな中、バレンタインでも、高価なブランドチョコ消費よりも、安価な手作りチョコ優先という流れが押し寄せている。今年のバレンタイン、キーワードは“おウチLOVE”である。
高架下の……愛?
これは実話ではあるが、妄想でもある。昨年暮れ、仕事場近くのJRの高架下に新しく“おウチ”ができた。四角く囲んだ段ボールでできている。上手に作られてはいるが、この寒さの中、さぞキツいだろう。新参者はどこからきたのか、リストラだろうか、一家離散したのだろうか……。
年明けのある夜、私はその高架をくぐり帰宅の途についた。すると、段ボールのおウチのそばに若い女性が1人立っていた。ベージュのロングコートに黒いロングブーツ。ロングヘアの美しいシルエットの人。横目に見ていると、彼女は細身の手袋をはめた手で、段ボールの“入口”とおぼしきフタを開けて、のぞきこんだのだ。
私は息をのみ、通り過ぎてから振り返った。まだ、そこに彼女はいた。無言で中を見ていた。私は思いつくあらゆる物語を数秒間のうちにめぐらせて、立ち去った。
それから1週間ほど後の土曜日のこと。おウチの上に“枕”があった。住人がどこかで調達してきたのだろうか。それを虫干ししているのだろうか。だが高架下に陽は当たらない。しかもよく見ると、枕カバーがなぜだか真っ白でとても清潔なのだ。
まさかあの女性が……? 平成大不況の最中、そんな“おウチLOVE”もありえるのか? 思えば、愛の支援がバレンタインの本質。寒い中、温かいバレンタインデーをおくりましょう。
関連記事
- 「いつまでそこにいるの?」――人はいつ、どこで“フミダス”のか?
新年は何かに踏み出すにはもってこいの時期。生涯学習のユーキャンも新年に合わせて“フミダスムービー”というキャンペーンを始めて、資格学習をうながしている。私たちはどんな時、どんな場所で踏み出そうと思うのかを考えてみた。 - 「紙とペンの間にはエロスがある」――文具マニアが日本製品の美を語った
昨年暮れ、モノマガジン系雑誌の文具座談会に出向いた筆者。参加した手帳評論家や文具王の熱い語りに圧倒され、日本の文具製品のすばらしさを再認識した。 - 電子レンジ以来の発明!? 家庭で使える真空調理器の可能性
調理の際に内部まで熱を通せ、細かく温度調整ができるだけでなく、食材のうまみも逃がさないといった利点もある真空調理法。これまでは高価な業務用機器を使うしかなかったが、10月に米国で家庭用の真空調理器が発売された。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.