生活にレベルアップ音を!:誠 Weekly Access Top10(2010年2月6日〜2月12日)
任天堂のゲームデザイナー、宮本茂氏がこだわるという効果音。しかし、ゲーム以外でも効果音を工夫することで、生活をより豊かにできる場面があるのではないだろうか。
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先週最も読まれた記事は「“よくできたゲーム”と“面白いゲーム”の違いとは?――マリオの父、宮本茂氏の設計哲学(前編)」。2位は「できる人とできない人の『めんどくさい』の違い」、3位は「なぜトヨタだけ? 同じハイブリッドでもホンダは大丈夫なワケ」だった。
宮本氏の効果音へのこだわり
スクウェア・エニックスの河津秋敏氏が任天堂の宮本茂氏にインタビューした内容を紹介した「“よくできたゲーム”と“面白いゲーム”の違いとは?――マリオの父、宮本茂氏の設計哲学(前編)」がトップだったが、実は任天堂Webサイトにも「社長が訊く」というコーナーがあり、岩田聡社長が宮本氏などの開発者に各ソフトの制作背景などをインタビューしている。
「社長が訊く」は企業Webサイト内のコンテンツでありながら、はてなブックマーク数が3ケタを超えるものも珍しくなく、1日29日に行われた2010年3月期第3四半期決算説明会でも「楽しみに読んでいる」と質問者から言われるほどの人気コンテンツとなっている。
筆者も楽しみに読んでいる1人なのだが、そのインタビューの中で気になったのが宮本氏の効果音へのこだわり。任天堂が2009年12月に発売した『New スーパーマリオブラザーズ Wii』を開発するに当たって、宮本氏は新キャラクターのプロペラマリオが飛ぶ時の音に相当気を遣い、リテイクを何度も繰り返したという。サウンドスタッフに音をイメージさせるために、「プロペラの動力はエンジンなの? モーターなの? それともバイオなのか」と質問したとも話している。「効果音なんてそれっぽい音を鳴らしておけばいいんでしょ」と考える人もいるだろうが、宮本氏はリアルさを出すため細部までこだわったようだ。
生活にレベルアップ音を!
日常生活を振り返ってみると、効果音が使われているのはゲームだけではない。レジでバーコードを読み取る音から消防車のサイレンまで、ありとあらゆる場所でさまざまな効果音が使われている。しかし、宮本氏ほどのこだわりをもって設定されている効果音はあまりないように思える。
例えば、エレベーター。多くのエレベーターでは各階に着いた時に音が鳴るが、どのエレベーターでも無味乾燥の同じような音を聞く。筆者はよく使うビルでも、目的の階と間違えて別の階で降りてしまうことがあるのだが、もし到着音の音程が階ごとに違っていたならば、恥ずかしい思いをすることは少なくなるのではないだろうか。JR山手線などでは駅ごとに発車メロディが異なっているが、エレベーターのような場所でも同じことをしていいと思うのだ。
個人で効果音を決められる場合でも、ケータイの着メロ以外ではそれほど意識して設定されていないように思える。例えば、通話やチャットができるSkypeでは誰かの発言などがあった時、警告音が鳴るように設定されている。筆者周辺ではほとんどの人がデフォルトの警告音のままなのだが、デフォルトの警告音は急かされる感じがして、気分良くチャットに臨めないことがままある。
そこで、筆者は警告音を風鈴の音などに変えている。だまされたと思って、1度やってみていただくと分かると思う。風鈴の音でも水が流れる音でもいいのだが、一見、警告音らしくない環境音を設定すると、音が鳴るたびに癒やされるような感じがし、落ち着いてチャットなどに臨めるようになるのだ。Skypeを使わない人でも、「社員証をカードリーダーにかざした時、風鈴の音が鳴ったら」と想像してみてほしい。殺風景な職場で仕事をしている人にお勧めしたい効果音の使い方である。
家電でも、効果音をカスタマイズできたら面白そうだ。炊飯器の炊き上がり音として、「おばあちゃん、米炊けたでー」という孫の声を入力できれば、喜ぶ人は多いのではないか。また、冷蔵庫のドアが開けっ放しになっている時に、萌えボイスで「開いてるよ!」と注意してくれる冷蔵庫があったなら、その筋の人が買ってくれるかもしれない。さらに、そうした音声をダウンロード販売することで、新たな市場が開拓できる可能性もある(一応そういうサービスはあるようだ)。
生活を豊かにする力を秘めている効果音。アイティメディアでも「長い記事を読み終えたら、レベルアップ音が流れる」といったことをすれば、最後まで読んでくれる人が少しは増える……かもしれない(会社で読めなくなるという説もある)。
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