「日本製品=高品質」神話を疑う(2/2 ページ)
「日本企業は技術力がある、品質・サービスがよい」「国産は外国産より安全」「外部より社員の方が信頼できる」というフレーズを聞くものの、それらを担保するデータが示されず、観念論的なものが多いのが気になるという筆者。スカイマークの事件を例に、「日本製品=高品質」神話について考えてみた。
常識を疑うことが突破口に
私がいる調達・購買の現場は、必要とされているモノを確保するのが目的なので、一般論やマクロな視点ではなく、最終的には「目の前にあるモノや担当者が信頼に足るか否か」というミクロの視点が大切です。取引の目的が物品や短期的なサービスなど具体的であればあるほど、企業や事業レベルではなく、物品や担当者といったミクロな視点が重要になります。
このミクロの視点に立った時、良いものを安く買うには逆張りの発想が重要です。コストは理論で決まりますが、価格はサプライヤの意志や相場で決まります。価格が相場で決まるならば、逆張りでなければ、良いものを安く買えません。順張りでは良くて高値づかみ、悪ければバブルに引っかかってしまいます。しかし、調達・購買では、産業や企業ではなく、どの物、誰と付き合うかというミクロな視点の方を重視すれば、良いものを安く調達する機会はいくらでもあるのです。
「有名な大企業よりも無名な中小、ベンチャー企業」「一言えば十理解する日本企業ではなく、十言っても一しか持ってこない外国企業」「即戦力の中途採用よりやる気のある新卒採用」でも、目の前にいるサプライヤや担当者が信頼できるのであれば、彼(彼女)らと付き合った方が、3割どころか、1ケタ〜2ケタのコスト低減も可能です。
また、民主党政権になって、雇用の硬直化がますます懸念される現在は、経営者にとって、正社員を増やすのはあまりにもリスクが大きく、サプライヤの力を上手く使って、現社員の生産性を飛躍的に拡大させる以外に現実的な選択はありません。
残念ながら、雇用政策については、政党に関わらず、政治家・官僚とも、厳しいグローバル競争の現実を理解している人は皆無に等しいと言わざるをえません。それにしても、現在の雇用政策は、小手先の対策が問題をより悪化させる典型的な事例のような気がしてなりません。
このような現実の中では、「国産>外国産」「社員>外部」といったこれまで当たり前とされていた常識、神話を疑うことが突破口になると考えます。
日本では、なかなか理解してもらえないのですが、モノ、ヒト、カネ、情報などあらゆる経営資源は外部からの調達が可能です。例えば、生産委託はモノだけでなく、ノウハウという情報、研究開発や生産に携わるヒトの調達手段の1つです。カネも銀行だけではなく、社債や株式発行などさまざまな調達手段があります。経営すら、正しいか否かに関わらず、その企業の根幹となるはずのビジョンや経営戦略などを、コンサルティング会社などの外部に委託している企業が数多くあるのが現実です。
このように、現在は、外部から調達できない経営資源は皆無です。ですので、問題は「いかに外部から経営資源を上手く調達するか」の前に、「何を自社で確保し、何を外部から確保するか」であり、その答えは個々の会社が目指すものによって異なります。
航空会社の会長と社長が安全を軽視するならば、まず調達しなければならないのは、機長ではなく、経営陣でしょう。それを効果的効率的に調達する方法など、いくらでもあります。(中ノ森清訓)
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