草の根“最強”フットサルチームに学ぶ、みんなの勝利:郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)
サッカーワールドカップ南アフリカ大会では、代表チームのベスト16進出に日本中が沸いた。しかし、その熱気をワールドカップ後も持続させるためには、草の根からの取り組みが不可欠。フットサルチーム、フウガ東京のイベントに参加した筆者は、そんな草の根から盛り上げようとする人々の姿を見た。
地域を盛り上げて
チームを支えるのは、ボランティアと地域社会。今回のイベントの企画立案者は法政大学4年生の斉藤亜裕美さん。7人いる学生スタッフの1人だ。
「フットサルクリニックやTシャツイベントを通じて、墨田区のみなさんに応援してもらいたいんです」
フウガの前身、FUGA Meguro時代からのファンである斉藤さんは、学生スタッフ募集のお知らせを見て参加。大学で「農業で地域活性化」「高齢化が進む多摩ニュータウンの活性化」など、地域社会の再創造をテーマに活動してきた彼女には強いリーダーシップがある。営業スタッフから企画担当となると、ネットワーク作りの才能を発揮して、墨田区観光協会や地元中小企業などに賛同者の輪を広げた。今回のイベントを協賛する久米繊維工業とはTwitter経由で知り合った。同社は太腹に“勝”Tシャツを提供、イベントPRにも参加する。
そんなフウガの実績と結束を認めたのが墨田区。フウガをホームチームに迎えた墨田区総合体育館では、7月24日、8月14日、12月4日(いずれも土曜)に関東リーグの試合を開催する。そして、地域スポーツクラブのスポーツドアあずまや両国倶楽部を通じて、フットサル教室も開く。
フットサルを核として、地域と企業がハコ(体育館)で1つになる。Jリーグよりも身近で、競技に参加しやすいし、支援もしやすい。大きな商業集積がなくても、大企業がなくてもできることがある。
みんなが勝つために
ファンから「Tシャツにメッセージを書いて」とせがまれたある選手。「みんなで勝つ、ってどう書いたらいいかな?」と悩んでいると、ほかの選手たちは口々に「win by allじゃだめ?」とアドバイスする。
それはジェフユナイテッド市原・千葉のスローガンなので、いただくのはちょっと問題がある(笑)。そこで1つ、言葉の支援をしよう。「One for ALL, ALL for One」のOneをちょいと変えてみた。
“WON for ALL, ALL for WON”――「勝利はみんなに、みんなは勝利のために」
分厚く支援してくれるみんなを癒やしてくれるのは、やはり「勝利」。フウガではFリーグとの入れ替えがある2012年(東京スカイツリーの開業年)に昇格を目指す。まずは7月24日の墨田区総合体育館の試合を見に行こう。チームだけの勝利ではない。地域や企業、住民、みんなの勝利のために。
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