コラム
電動自転車は普及するのか:松田雅央の時事日想(4/4 ページ)
クルマの世界では電気自動車が普及しつつあるが、電動の自転車も広まっていくのだろうか。今回の時事日想はドイツの老舗・ヘラクレスに、電動自転車の現状と今後の潮流を聞いてきた。
市場に浸透していないE-バイク
ドイツにおける自転車の売れ筋価格帯は400〜700ユーロ程度。日本で言う“ママチャリ”のような小型低価格タイプはあまり存在せず、日本に比べれば「高くていいモノを長く大切に使う」感覚が強い。景気の波によって低価格志向にぶれることはあるが、基本的な傾向は変わらないようだ。ドイツの自転車は、ほぼ「全世代が1人1台所有」の状況にあり、修理しながら大事に乗っている人が多い。
ヘラクレス社製E-バイクでとりわけドイツらしいと思ったのが、折りたたみE-バイクだ。そもそも、日本に比べて折りたたみ自転車の市場は格段に広く、折りたたみ自転車を抱えて列車を利用する人は珍しくない。
同社はすでに20車種のE-バイクをそろえており、他社に比べてそのラインアップは充実している。
旅行でも持ち歩ける「折りたたみ式E-バイク」。リチウムポリマー蓄電池(144Wh)、価格は1400ユーロ、重量16.9キログラム(左)、「折りたたみ式E-バイク」を折りたたんだところ。車体のフレーム内にリチウムポリマー蓄電池が内蔵されている(右)
ただ実際のところ、E-バイクはまだまだ市場に浸透していない。中心市街地を自転車で走りながら数百台の駐輪自転車を眺めても、E-バイクを見かけることはほとんどない。今後、E-バイク普及のカギを握るのは、通常自転車の4倍以上する価格をどれだけ下げられるかにかかっている。もう1つは、手間がかかるアフターサービスをどれだけ充実できるか。自動車販売よろしく、サービスステーション網の充実度がE-バイクの売れ行きを左右しそうだ。
※1ユーロ≒115円
関連記事
- 自転車には欠かせない「シマノ」、その実力に迫った
自転車の総合メーカーとして、世界トップシェアを誇る「シマノ」。現在小売店に並ぶ自転車(4万円以上)のブレーキと変速機の9割以上がシマノ製だという。大阪で誕生し、その後世界トップレベルに成長した企業の戦略を聞いた。 - 不思議の国ニッポンが、好かれる理由
ドイツ人は日本に対し、どのようなイメージを抱いているのだろうか。伝統文化を重んじる一方で、先端技術を誇るハイテクの国。また最近ではサブカルチャーの発信地としても注目を集めているようだ。 - 東京都民が、クルマを所有しない理由
あなたはなぜクルマを所有しないのですか? クルマを所有するつもりのない東京都民に聞いたところ、「徒歩と公共交通機関で十分だから」という人が最も多いことが分かった。東京都調べ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.