何でも“コンペ”にしたがる人の心理(2/2 ページ)
さまざまな業界でコンペが増えているというが、コンペにはメリットもあれば、デメリットもある。目先のメリットを追うあまり、まるで常識か癖のように、何でもコンペにするような仕事の仕方でいいのだろうか。
何でもかんでもコンペにするんじゃない
大切なのは、コンペが増えることによって、本当に安くていいものが買えるようになったかどうかということ。コンペにもデメリットがあることを、しっかり認識しているかどうかでしょう。
もし、安くていいものが買えるようになったとしても、「コンペを企画・開催し、発注先を決定するのにかかる時間やパワーのロスが実はもっと大きいのではないか」「深い相互理解と信頼関係を持つパートナーを失う(パートナーができない)ことになっていないのか」「参加側がそれに費やすパワーやただ働きの多さに疲弊しきっていないか」、そんな観点から考えてみる必要があるでしょう。
昔よりはるかに忙しくなったのに利益が増えないのは、価格下落が原因だと思いますが、価格の下げ圧力に加えてタダ働き要素の強いコンペが、実に普通の商慣行になってしまったことも多少影響をしているのではないでしょうか。
コンペをしたがる心理というのは、小沢さんが菅さんの予算編成について「一律10%削減というのは、ビジョンやポリシーが感じられない」と批判したような官僚的な考え方や進め方に似ているような気もします。
「自分が実現したいこと、やりたいことがあったら、お金をかけるところと削るところを明確にできるはず。一律削減などというのはそれがないか、官僚に操られているからだ」という話ですが、コンペをやりたくなる気持ちも、当事者としての情熱や目標や勉強の欠如から来るもののような気がします。「何でもかんでもコンペにするんじゃない。参加する側の気持ちになってみろ」と現場をたしなめていた、ある上場企業の元社長の言葉を思い出して改めてそう感じます。(川口雅裕)
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