検索
連載

なぜエライ人は道路を造り、お金を配らないのかちきりん×赤木智弘の“ちゃかす”が正義(9)(3/3 ページ)

道路や橋といった公共道路は“余分”に造られてきたのに、なぜ国民にはあまり現金が支給されてこなかったのだろうか。この問題の背景には、どうも官僚の思惑が潜んでいるようだ。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena
前のページへ |       

現金配分型政府がうまくいかない理由

ちきりん:現金配分型の政府がなかなか実現しない理由は、嫉妬問題だけではなく、権力側の抵抗が主な理由ではないですか? お金をバラ撒くだけなら、政府側にはあまり経費がかからない。権力が生まれにくくなる。

 しかしダムや高速道路を作るときには、必ず人が必要になり、○○公団や○○事業会社といったものが生まれてきて、そこに権力ができます。国は自分たちの権力や雇用を失いたくないので、お金を配る方法ではなく次々にダムや高速道路を作ろうとするんだと思うんです。

赤木:そうですね。それが官僚たちにとっての権力の存在意義なんですよ。また自尊心であったり、やりがいであったりする。自分が手をくだしてやったから「ここに利益がいったんだ」という感覚。

ちきりん:税金を使って公共工事で仕事を増やす方法は、「オレたちが助けてやったんだ」という感覚が得られるし「いいことをしてやった」という自尊心につながる。業者を選ぶ時も、複数の企業にプレゼンをさせて、そこから1社を選び「発注してやる」ということは、彼らにとって気持ちのいいことなんですよ。

 そう考えると、古い体質の大きな政府を解体しないと、社会保障の手厚い政府になることは難しいのではないでしょうか。そして古い政府を解体するには「民間でできる仕事を官はやるな!」ということを徹底させなければいけない。

赤木:残念ながら、民間でやっても同じかもしれない。なぜなら民間企業でも経営陣は同じことを考えているから。

ちきりん:でも民間企業だと、競争原理が働きますよね。

赤木:本当は競争が生まれないといけないのですが、今は「ない」状況だと思っています。なぜなら3〜4社が集まってしまうと、そこに談合が生まれてしまうから。

ちきりん:では、どのようにすればいいと思いますか?

赤木:ちらしていくしかないと思っています。

ちきりん:ちらしていく?

 →続く

ちきりんさんのプロフィール

兵庫県出身。バブル最盛期に証券会社で働く。米国の大学院への留学を経て外資系企業に勤務。2010年秋に退職し“働かない人生”を謳歌中。崩壊前のソビエト連邦など、これまでに約50カ国を旅している。2005年春から“おちゃらけ社会派”と称してブログを開始。Twitterアカウントは「@InsideCHIKIRIN

 →Chikirinの日記


前のページへ |       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る