市場調査会社の矢野経済研究所は10月6日、リチウムイオン電池の世界市場に関する調査結果を発表した。2010年度のリチウムイオン電池の世界市場規模は前年度比12.6%増の1兆949億円(見込み)で、同研究所では2015年度には3兆560億円まで伸びると予測している。同調査は、今年1月〜9月にかけて、リチウムイオン電池メーカーへの直接面談、電話や電子メールによるヒヤリング、ならびに文献調査を併用して実施した。
リチウムイオン電池の世界市場規模は、リーマンショックに端を発した世界不況の影響を受けて、2009年度は前年度比9.3%減の9727億円とマイナス成長となったが、携帯電話やノートPCといったポータブル機器での需要が回復して再び成長基調となり、2010年度には前年度比12.6%増の1兆949億円となる見込みだ。
また、車載用や産業用など中・大型リチウムイオン電池の需要も出始めており、2012年度には1兆4716億円、2015年度には3兆560億円まで拡大していくと予測。2015年度の用途別シェアでは、民生向けポータブル機器用は全体の35.2%まで低下、代わって車載用が全体の43.4%となり、リチウムイオン電池市場で最も多い用途となるとしている。
一方産業用は、2015年度の時点でもシェア9.8%にとどまる。これは、産業用電池として広く利用されている鉛電池との価格差によるもの。産業用でのリチウムイオン電池の用途は非常に多種多様なため、2020年度頃には車載用市場を上回る規模になるという見方もある半面、鉛電池との価格差を2〜3倍以内にしないと産業用では普及しないという意見も多いという。
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