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“好き”を作る2つの法則とは?――好悪の感情を科学する郷好文の“うふふ”マーケティング(3/3 ページ)

人はなぜ何かを好きになったり、嫌いになったりするのだろうか。筆者は、グラミー賞アーティスト「ディクシー・チックス」に対する自身の思いの変遷から、何かを好きになる2つの法則について考察した。

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好き嫌いを決める3つの脳

 好きはきっかけで始まり、要素の重なり具合で強くなる。ところが嫌いが許容範囲を超えると、好きはパッと消滅する。この関係はどうやら脳ウンチク学的にも説明がつく。

 好き嫌いを決めるためには、脳の3つの部所が関わる。まず、大脳辺縁系(だいのうへんえんけい)は大脳の古い皮質で、人の本能に関わる部分。ここに「美しい」とか「好き」とか「嫌い」とか、「快」か「不快」かという感覚情報が集まる。好きの要素が集まり重なる場所だ。

 そして2つ目は大脳新皮質である。ここは人格・意欲・創造性を司る機能、つまり理性を発揮して「やっぱりこれ嫌い」や「好き」を感じる。「値踏み」もしくは「世間体チェック」とも言える。

 だが快・不快を初期判断するのは、大脳辺縁系の奧のアーモンドのカタチをした扁桃核(へんとうかく)とされる。この情動を司る器官が好き嫌いを決めている。良いことが続けば「好き」、不快なことが起きると「嫌い」を発動する。

 要するに好きにさせる戦略には3段階ある。ターゲットの扁桃核へ好きになる(不快にさせない)きっかけを働きかけ、好きを持続させる要素を大脳辺縁系へ積み重ね、そして離反させないシナリオで大脳新皮質をコントロールする。どうやらマーケティングらしくなった(笑)。

 好きなものから要素が欠けたとき、それの何が好きだったのかが分かる。3分の2のコート・ヤード・ハウンズになって、3人のチックスは単なるポップスではなく、本当のカントリー、真の愛国心を歌っていたと気付いた。何を聴いていたか、自分が本当に何を好きなのかが見えてきた。好きの構造とは、かくもおもしろい。

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