第44鉄 白銀の鉄路をSL列車で旅する〜SL冬の湿原号:杉山淳一の+R Style(5/5 ページ)
SL列車は全国で人気だが、その中でも雪景色を見ながらの旅が楽しめる『SL冬の湿原号』は格別。今回は標茶駅から釧路駅まで、SLで北海道を旅しよう。
JR北海道のC11形は一年中大活躍
JR北海道はC11形蒸気機関車を2台持っている。171号機と207号機だ。『SL冬の湿原号』に使われるC11形蒸気機関車は主に171号機。この機関車は1940(昭和15)年製で、前述の標津線で活躍した後、標茶町内の公園で静態保存されていたという。復活のきっかけは1999年に放送されたNHKの朝の連続テレビ小説『すずらん』だった。戦前、戦後の激動期を生き抜いた女性の一代記。舞台となった留萌本線では真岡鉄道から借り受けたSLを使ったロケが行われて話題となった。そこでJR北海道は蒸気機関車の復活させた。171号機の再デビューは、留萠本線の『SLすずらん号』だった。いまや 2台のC11形は大人気。夏は『SL函館大沼号』、秋は『SLニセコ号』など、季節に応じて道内各地を巡業している。
釧路着15時10分。ホームには煙の匂いと旅の余韻が残っている。蒸気機関車と記念撮影する人が次々とカメラを構えていた。機関車が後ろ向きなので、皆「列車の最前部を撮るか、機関車の顔を撮るか」で悩んでいる様子だった。この機関車の次には黒い車掌車。実はこれ、車掌さんが乗務するのではなく、展望車として開放されていたそうだ。そうだと知っていれば、どこかの駅からひと駅間だけでも乗っておくんだった。車掌車に乗るなんてめったにできない体験だったのに……残念。やっぱり、もう一度乗りに来ようと思った。
今回の電車賃
SL冬の湿原号 標茶−釧路 乗車券 1040円 指定席券800円
※流氷ノロッコ号(網走−知床斜里)からSL冬の湿原号を乗り継ぐ場合は、知床斜里と標茶を結ぶバス「ツイングルバス知床号」が便利。1000円(要予約)
著者プロフィール:杉山淳一
肉食系鉄道ライター(魚介類が苦手)にして、前世からの鉄道好き。生まれて間もなく、近所を走っていた東急池上線の後をついていったという逸話あり。曰く「いつもそばを走ってたから、あれが親だと思った」
コンピューター系出版社でゲーム雑誌の広告営業を経験した後、フリーライターとなる。オンライン対戦ゲーム、フリーウェア、PCテクニカルライティングなどデジタル系の記事を専門とし、日本初のEスポーツライターとしてオンライン対戦ゲーム競技を啓蒙する。
趣味は日本全国の鉄道路線探訪で、現在の路線踏破率は約8割。著書は『もっと知ればさらに面白い鉄道雑学256(リイド社)』『知れば知るほどおもしろい鉄道雑学157(リイド社)』『A列車で行こう8 公式ガイドブック(エンターブレイン)』など。
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