コラム
「私教える人、僕学ぶ人」は×、強みを生かす組織のあり方とは(2/2 ページ)
「教える人」と「学ぶ人」の役割が固定してしまっている組織は、教育の効果が限定的になってしまうという筆者。教育の効果を高めるためにはどうすればいいのでしょうか。
教えるのが一番自分の身に付く
「みんなが教える立場になる」と、各々の強みや得意分野がさらに強化されるという大きなメリットもあります。「教えるのが一番自分の身に付く」という感覚は、覚えのある方も多いでしょう。ちなみに、心理学者のエビングハウスによれば、人間の行動による記憶残存率は、次のようになるそうです。
- 読む……10%
- 聞く……20%
- 見る……30%
- 話す……70%
- 行う……80%
読む、聞く、見るといったことでは、10〜30%ほどしか記憶に残りませんが、「教える」、つまりほかの人に話したり、学んだことを人に対して行ったりすると、70〜80%と飛躍的に記憶に残すことができる。「教える立場」になると、それまで学んでは消えていた記憶が、自分のものになって蓄積されるようになるということです。断片的に記憶されていたものが、人に教える機会を通して体系的に理解できるようになることもあるでしょう。
もう1つ、周囲から「教えてほしい」と言われる、教えたら「なるほど」と感心されたといった経験は、自分の強みを再認識することになりますし、同時に人の役に立ったとも思えるので、喜びや前向きな気持ちが生まれます。みんなが交互に教える立場になると、そんな効果もあるのです。
「自分が教えなければ……」と考え、「とはいえ時間もないしどうすればいいのだろう」とお悩みの管理職のみなさんも多いことと思いますが、教え合う仕組み作り・組織作りによる人材育成効果をぜひ視野に入れていただきたいと思います。(川口雅裕)
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