コラム
「とにかく傘を持って行け!」に“?”となる部下の気持ち(2/2 ページ)
マネジャーは「空の状況」「これからの天候」「だからすべきこと」についてメンバーと丁寧に共有を図らねばなならい。「俺の言う通りになるからとにかく頑張れ」では、思考停止組織になってしまうと筆者は主張する。
「四の五の言わずに、この傘を持っていけ」
が、「四の五の言わずに、この傘を持っていけ」というような指示を、ついしてしまいがちです。空の状況、雨降りの予測、これが自分には見えているし、大体そうなるものなのだから、その部分はすっかり省略した上で「この傘を持っていきなさい」と。
雲が出てきたことも、雨が降りそうなことも知らない子どもに、素晴らしい機能とデザインの傘を持たせているのと一緒です。メンバーは「なぜこの傘を持って歩いているのだろう」という疑問が日々大きくなっていきます。ところがマネジャーは「俺の言う通りになるからとにかく頑張れ」と言う。「やっていればうまくいくはずなのに、どうして頑張らないんだ」と言う。
怖いのは、このようなマネジメントが全社的に浸透してくると、「空の様子を見る、雨の予測をする、どんな傘を持っていくかまでは“ウエ”が考えることだ」という思考停止組織になっていくこと。空の様子やこれからの天気を自分で考えることなく、「どんな傘を持って歩くかを決めてもらえれば、そこから先は頑張って歩くのは得意ですよ」というようなことを、幹部クラスが口にする会社もあります。
その意味で、「空はどうなっていますか、天気はどうなると思いますか、なぜその傘を持っているのですか」に答えられる人の割合と内容の一貫性は、その組織の活性度、健全性や将来性を計る格好の目安と考えます。(川口雅裕)
関連記事
- 「この会社を友人や同僚に勧めますか?」――顧客満足度を測る究極の質問
顧客への「満足ですか?」「不満足ですか?」という問いかけは、はたして企業・組織に進化をもたらすのだろうか。筆者は顧客満足を推し量るための究極の質問があるという。 - 新入社員に求められる7つの「オヤジ耐性」
新入社員の定着のためには、接し方やマネジメント手法の前に、世代間の徹底した相互理解が大切だと主張する筆者。会社で遭遇するオヤジに、若手はどう対応するべきかをアドバイスします。 - ゆとり世代を批判する“実はゆとり”な世代
学習指導要領の改訂によって、学力がほかの世代に比べて落ちると言われる“ゆとり世代”。特にネット上では、ゆとり世代に対する批判がよく見られるが、筆者はその風潮に意義を呈する。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.