「成長したので昇進させたら失敗した」となる理由(2/2 ページ)
企業人事において、「任せられる」「成果が出ている」「自信を持っている」という状態を見て、十分に成長したと判断し、上の階層に昇進させたら、全然ダメだったということがよく起こります。これは、なぜ起こるのでしょうか。
なぜ昇進人事が失敗するのか
企業の人事において、「任せられる」「成果が出ている」「自信を持っている」という状態を見て、十分に成長したと判断し、上の階層に昇進させたら、全然駄目だったということがよく起こります。これがなぜ起こるのかと言えば、その後も持続的・自律的に成長するかどうかという検討がなされていないからです。
「任せられる」「成果が出ている」「自信を持っている」は、その人が置かれている立場や役割の合格基準であり、その階層の卒業基準です。それに対して、「その後も持続的に、自律的に成長していくか」どうかは、その上の立場や役割への入学基準とも言えます。この入学基準からの検討がないと、全ての役職や階層が、卒業できた“ご褒美”や“上がり”のポジションになりかねません。昇進に値する成長かどうかは、「任せられる」「成果が出ている」「自信を持っている」に、上の階層の入学基準としての「持続的・自律的な成長力がある」という観点を加えるべきだというわけです。
では、持続的・自律的な成長力がついているかどうかを、どのように見ればよいのでしょうか。3点を挙げておきたいと思います。
1つ目は、自分に対して物足りなさを感じていること。自らの能力や技術に対して満足してしまっては成長はありません。2つ目は、興味・関心の幅が広いこと。現状の自分の視野・視点では見えていない世界があるという意識は成長に不可欠です。3つ目は、組織への健全な批判精神です。自分なりの軸でモノを考え、行動できなければ、組織の大勢や雰囲気や権力に流され、与えられたことをやればよい、求められているレベルで十分だとなってしまい、成長はストップしてしまうでしょう。
学校なら、入学を希望する生徒の習得度を確認できれば、進学・入学を認めればよいわけですが、企業は、習熟度などに加えて成長期待を確認できなければ、昇進させるのは危険だということです。実際に、卒業即昇進のような運用をしている会社も少なくありませんが、卒業試験に合格できても、上の立場・役割に入学できない、ということがもっとあってもよいはず。その観点は、「持続的・自律的な成長力」があるかどうかです。(川口雅裕)
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