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38歳、それは会社員にとって“あきらめ”の年吉田典史の時事日想(3/3 ページ)

会社から独立するか、会社員として一生を過ごすか、38歳はその決断を下せる最後の年齢だという筆者。その結果、会社員として一生を過ごすことを決断する人も多いだろうが、その際は「“あきらめること”が大事だ」と筆者は主張する。

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専門職もあきらめよう

 次に専門職が38歳以降、ぶつかる壁である。例えば、営業部で言えば、部下を持つことなく、ひたすらプレイヤーとして稼ぎまくる社員がいる。そのような人が専門職と言える。大手メーカーの研究所などに勤務する研究員も同じくである。

 一見すると、これは自分のやりたい仕事を極めることができるという点で面白そうに見える。だが、リストラなどの憂き目に遭いやすいのはこの専門職である。少なくとも、部下を持つ管理職は、この専門職よりはその意味では安全だ。ただし、非常に高い評価を受けている専門職は例外となる。

 日本企業は伝統的にライン、つまり部下を持つ課長や部長の立場が強い。今後、この傾向は変わると言う識者はいるが、私はすぐには変わらないと考えている。あと20〜30年は依然として部下を持つ課長や部長が専門職よりも権限が強いだろう。

 それならば、専門職の人はラインの管理職と張り合うことをあきらめたほうがいい。むしろ、自分の専門分野を極力、ほかの人ができないくらいまで独自性を高めていくといい。そうして他部署へ追い出されたり、リストラを受けないようになりたい。例えば、営業部で言えば、みんなが法人で売上30億円前後の会社にセールスをするならば、そこに売り込むことは当然だが、売上50億円前後の会社からも契約が取れるようになりたい。こうして自分の居場所を確保するのだ。

 経験論であるが、30代後半まではとかく、自分に必要以上の期待をするものだ。「俺はこうなれる」とか「ここまではいける」という具合に。そのような思いはもしかすると、“幻想”かもしれない。いや、その可能性は高い。38歳になったら、妙な期待をすることなく、どんどんとあきらめたい。そうすれば、自分にとって本当に大切なものが見えてくる。それで絶望から希望に満ちた人生にきっとなれる。

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