東京商工リサーチは9月26日、主な旅行会社50社を対象とした海外旅行動向調査の結果を発表した。それによると、7月〜8月末の海外旅行申し込みが前年同期より「増えた(やや含む)」という会社は25社と、「減った(やや含む)」の14社を大きく上回っていることが分かった。
「増えた」と回答した旅行会社に増加要因を聞くと、トップは「円高の影響」(16社)。ドルだけでなくほぼすべての通貨に対して空前の円高水準にあるが、具体的に申し込みが増えた国では「ハワイ」(7社)、「韓国」(6社)などが挙がった。
それ以外の増加要因としては「東日本大震災後の自粛の反動」(14社)、「旅行料金の低価格化」(12社)、「プラン・パッケージの充実」(9社)などがあった。
一方、減少要因では「消費の冷え込み」「東日本大震災の自粛の継続」がそれぞれ10社でトップ。「燃料サーチャージの値上げ」という声もあった。
秋以降の動向見込みについては、「増加」が14社と「減少」の7社を上回ったものの、「横ばい」が17社と多数派だった。東京商工リサーチでは「アジアを中心とする近隣への旅行は堅調な推移が見込まれ、政情が安定してきた中近東への利用増も期待されている。一方、長引く景気低迷、収束にメドのたたない原発事故など国内事情への不安感は根強く、消費支出への足かせとなっており、中小規模を中心に旅行代理店では秋以降の厳しい見通しにつながっているようだ」とコメントしている。
LCCの扱い、大手と中小で温度差
近年、日本市場への参入が進んでいるLCC(格安航空会社)。しかし、旅行会社50社のうち「LCCをすでに扱っている」はわずか15社。
大手ではLCCについて好意的な回答が多かったが、中小では消極的な回答が目立ち、「話題のLCCを顧客取り込みの好機ととらえ、積極的に扱いたい大手代理店と、体力面で大手に劣り採算性も無視できない中小代理店では、LCCに対する取り組みに温度差があることが分かった」(東京商工リサーチ)
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