「常に自分が悪い」が招く結末とは:吉田典史の時事日想(3/3 ページ)
先日の時事日想で「常に自分は正しく、相手が悪い」という考え方は、良い結果をもたらさないと書いた筆者。その逆で、「常に自分が悪い」と思い込むことも良くないと、主張する。
職場のピエロにされる可能性
自分に明らかに問題がある場合は、素直に非を認め、直ちに改めるべきである。だが、その時も、必要以上に「自分はダメなんだ」と自虐的にとらえないほうがいい。
自虐的にとらえる人は、不満やコンプレックスの塊や、人と人との力関係に敏感な人に、ピエロにされる可能性がある。ピエロとは、みんなの前で茶化されたり、ほかの社員のミスの尻拭い的な仕事をさせられたりと、いいように使われることを意味する。つまりは、いじめを受けているのだ。
私が観察していると、自虐的にとらえる人は耐えて、その苦境を抜け出そうとする。その考え方は理解できなくもない。だが、自らの意思を表明しないと、状況を抜け出すことはできないだろう。
意思を伝えるとなると、自虐的にとらえる人は一転して、相手に「おい、お前」などと感情的な対応をすることがある。中には、キレてしまうことすらある。これでは、一段とピエロのような扱いを受ける。
人間関係の処理が下手で、コミュニケーションが不器用だから、普通に人と接することができないのだろう。極端な自虐か、極端な自己主張のどちらかになりがちなのだ。双方とも自分の姿が見えていないのだろう。
こういう状況から抜け出す、私なりのアドバイスはまずは意思を相手に伝えること。例えば、「ピエロにされて不快だ」という具合に。ただし、冷静に伝えたい。最初はうまく言えなくてもいい。言っても効果がないこともある。それでも、伝えよう。その繰り返しで、心の中で成功体験、つまり、「自分はここまで言えた」と思えるようになる。
そこまでたどり着ければ、大丈夫だ。その後も、冷静に自分の意思を伝え続けたい。そうすれば、ピエロのような扱いを受けなくなる。このようになると、不満やコンプレックスの塊や、人と人との力関係に敏感な人は近寄ってこない。
「『常に自分は正しく、相手が悪い』が招く結末」は、みじめなものだ。一方で、「常に自分は悪い」と思い込む将来も明るくはない。かけがえのない自分を守るためには、生身の姿を冷静に見すえることに尽きるのではないだろうか。
関連記事
- 35歳になった時に心得ていないと、ヤバイこと
仕事で成果を上げていくためには、「職務遂行能力」と「仕事への意識・考え方」の双方を身に付けることが大事だという筆者。特に仕事への意識は差が付きやすいということだが、それを高めるにはどのようにすればいいのだろうか。 - 「常に自分は正しく、相手が悪い」が招く結末とは
数年前の会合で名刺交換した女性と再会した筆者。会合で会社を批判していた言動と現在の境遇とを見比べて、「自分を変えない限り、幸福にはなれない」と気付いたという。 - 上司は部下の仕事にどこまで干渉するべきか?
人事コンサルタントの川口雅裕さんから、「会社員は、組織の中で承諾や合意を得るための力を身に付けないと何事もうまくいかない」と聞いた筆者。その力を鍛えるためには、上司が積極的に部下の仕事に干渉するべきと主張する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.