コラム
ドラマ『家政婦のミタ』にあって『南極大陸』にないもの(2/2 ページ)
この冬のテレビドラマは、松嶋菜々子主演の『家政婦のミタ』が視聴率でぶっちぎり。瞬間視聴率30%超えの話題は、10%台で右肩下がりの『南極大陸』とは対照的だ。この大きな差の原因は何なのかを考えてミタ。
“ないものねだり”の視聴者
中国人は道徳心が無いから儒教が生まれた。
日本人は勇気がないから武士道が生まれた。
アングロサクソンはずるいからフェアプレーの精神が生まれた。
こんな言葉に触れたことがある。必要なものは「ないから生まれてくる」ということだ。
現在の資本主義社会の隘路(あいろ)を“情熱”だけで切り抜けられるなんて、もう誰も思ってやいやしない。それは、リアルではない。お金で動いて利権を得たはずの政治家は、この社会の問題を何も解決してくれない。お金をもうけたはずの大きな会社の役員たちは、自分の地位を守るのに必死である。
「お金のことで生まれた問題をお金で解決してくれるスーパーヒーロー」が、この社会にはいないのだ。新しい資本主義社会のヒーロー『家政婦のミタ』の一番の魅力は、業務遂行能力である。しがらみなど気にしない問題解決能力である。視聴者は、いつも“ないものねだり”なのである。(中村修治)
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