調査リポート
“絆”報道は誤り!? 婚姻件数減でブライダル市場は3年連続縮小
“絆”という言葉が強調され、震災を契機とした結婚の増加を連想する報道もみられた2011年。しかし、実際は婚姻件数は前年比で大きく減少し、それに伴ってブライダル市場も縮小したようだ。
矢野経済研究所は1月11日、「ブライダル市場に関する調査結果」を発表。2011年のブライダル関連市場規模を前年比1.3%減の2兆7154億円と見込んだ。2009年以降、3年連続のマイナス成長となる。
分野別に見ると、最も大きい挙式・披露宴・披露パーティ市場が前年比2.4%減の1兆4800億円。顧客満足度向上を意識した商品開発とサービスの訴求で客単価が上昇してきたことで2003年以降増加基調にあったが、ここにきてマイナス成長に転じた。
市場縮小の最大の要因となっているのが、婚姻件数の減少。矢野経済研究所では、「『絆』という言葉が多用され、震災を契機とした結婚の増加を連想する報道がみられたものの、人口動態による婚姻件数は2010年比で大きく減少(2010年確定数70万214件、2011年推計数67万件)。また、震災を受けての式場の営業休止、挙式のキャンセルや延期、挙式披露宴1件当たりの少人数化も進みマイナスにつながった」と分析している。
2012年のブライダル関連市場については、前年比0.9%増の2兆7400億円と予測。挙式披露宴披露パーティ市場の復調、歴史的な円高を受けての新婚旅行市場の拡大、ブライダルジュエリーの好調などがプラス要因となる一方、少子化による婚姻件数減少、価値観の変化による挙式披露宴をしない“なし婚”層の拡大、非正規雇用者の増加による経済的不安などがマイナス要因となるとしている。
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